Interview – Famous

ロンドンの気鋭レーベルUntitled Recsに所属するトリオFamous。ポストジャンル時代の新旗手として急成長を遂げる彼らの考え方に迫る。

ーレーベルは「家族」みたいなものー

− バンド活動がスタートした経緯と、バンド名の由来について教えてください。

Famousとして初めて演奏したのは2016年だったんだけど、僕はGeorgeのことを子どもの頃から知っていたんだ。その後、様々な過程を経て、2019年に本格的に活動を開始したね。バンド名はカニエ・ウェストの曲のタイトルから取ったんだけど、今振り返るとなんかおかしいね(笑)。

− 今年アルバムをリリースしたBlack Country, New Roadのアルバムの特典コンピ「What a time to be alive」に参加されていましたね。彼らとの繋がりはどのようなものなんでしょうか?

彼らは僕らにとてもよくしてくれていて、良い友達だよ。素晴らしいアーティストたちと並んでアルバムに参加することができてとても光栄だね。

− 現在Famousはロンドンのレーベル、Untitled Recsの所属ですね。所属の経緯について教えてください。またレーベル内の雰囲気についても聞かせてください。

レーベルを立ち上げたAlexは僕の古くからの友達なんだ。彼はかつてメジャーレーベルで仕事をしていて、僕らがFamousを本格始動しようとしていた時に、彼も自身のプロジェクトをスタートさせることにしたんだ。僕たちは長い間何か一緒にしたいと考えていたから、すごく良いタイミングだったんだよね。レーベルは最高だよ。家族みたいなものだね。

− 昨年“Rooftop Concert” (ビルの屋上でのライブ)を開催されていました。屋上で演奏するという考えは以前からあったのでしょうか?

僕たちは子どもの頃からビートルズの大ファンだったから、まぁそうね、屋上で演奏することは確かに頭の片隅にあったな。昔から、将来(バンドとして)大きくなったらそういうこと(屋上でのライブ)をしたいねなんてことをふざけて言っていたんだ。それで、あえて誰も僕らのことを知らない時期にやることが面白いんじゃないかと思ってやってみた。ライブ当日は本当に良い日だったね。

ー「The Valley」は「成長物語」的なプロジェクトー

− ここからは新作EP「The Valley」についての質問です。まず初めに、今作のコンセプトについて教えてください。

「The Valley」は個人的には「成長物語」的なプロジェクトだと思っているかな。作品タイトル自体はEPに収録されている、僕らも大好きなタイトルトラックから取ったんだ。理由としては、“The Valley”は作品全体を表す比喩としてもしっくりくると思ったから。「谷」、(否定)神学的解釈では「不在」を表す。二つの頂点の間にあるスペース。それがものすごく合っているように思えた。どこか「中間的」感覚があったんだ。

− 今作からは様々なインフルエンスを感じられます。作品の制作過程で影響を受けたアーティストを教えてください。

いくつか挙げるとすれば、

ジョニー・キャッシュ、ヤング・サグ、ジャスティン・ビーバー、ビッグ・シーフ、フランク・シナトラ、ジョニー・ミッチェル、そしてビートルズ。

ーコントラストがはっきりしたものを作りたかった、もっと規模が小さく私的なものー

− 今回のEPと前作「England」とでは全体のテンションに変化があったように思えました。いくつかの曲はとても繊細で物静かでした。何かバンド内で精神的な変化や心境の移り変わりがあったのでしょうか?

「England」とのコントラストは比較的はっきりとしているね。他のインタビューでも答えたんだけど、「The Valley」は「England」で描いた、ある種の希望と素朴な楽観主義の一部が挫折したことへの回答を示したものだと思っていて。決して僕たちが懐疑的になったわけではない。単純に(コントラストの)はっきりしたものを作りたかった、もっと規模が小さくて私的なもの。より、素直な作品に仕上がっていると思うね。

− 誰か親しい関係にあるバンドはいますか?また、他のバンドでレコメンをいただけると嬉しいです。

ジャースキン・フェンドリクス、デスクラッシュ、エリー・ブリーチ、プラトニカ・エロティカ、ジェームス・マーティンは皆僕らの友達だね。

今はセイント・トレンテっていうアーティストにものすごく魅了されているよ。ぜひチェックしてみて欲しい。

ー良い事と悪い事のごちゃ混ぜー

− パンデミックはバンド活動にどのように影響を与えていますか?

みんなと同じだけど、間違いなく精神面で大きな影響を与えているね。とは言え、ロックダウンは普段僕らが作曲に使える時間よりも遥かに多い時間を与えてくれている。だからバンドに関わっている限りは、良い事と悪い事の両方がごちゃ混ぜになっている感じだね。

− 私たちは日本のメディアですが、何か私たちの国で興味のあることはありますか?

日本にはとても行きたいよ。僕の兄弟が一年間東京に住んでいたことがあってとても気に入ってたよ。もちろん食べ物も好きだし、本や映画もたくさん好きなものがあるね。いつか日本で演奏できたら夢のようだね。

− 今年の予定について教えてください。

アルバムを作ること、ツアー、レコーディング。もしかすると音楽をリリースすること(もし出来上がれば)。近々ツアーでドイツに行く予定だからとても楽しみです。


■ Release Information

Famous – The Valley

Release:2021. 5. 21

Label:Untitled Recs


Biography

Famous

ロンドンを拠点に活動するオルタナティブロックトリオ。ポストジャンル時代を牽引する新人バンドとして注目を集め、これまでにDORKやThe Line of Best Fit、So Young Magazineなどでも取り上げられている。Black Country, New Roadやdeathcrashとも親交があり、ロンドンのシーンでも一際異彩を放つ。前衛的でスリリングなアンサンブルにハードボイルドなボーカルをレイヤーしたエッジーな楽曲が早耳リスナーの間でも話題となっている。