東京は渋谷区神宮前にあるギャラリー BLOCK HOUSEにて、写真家/アーティスト 山本華の個展「Stakeout」が開催される。本展では、張り込みの体験をもとに制作した写真の新しいシリーズ作品が紹介される。

山本は自身とある出来事との間に接点をつくり、それらに形を与えることを作品制作の動機として活動を続けている。タイトルの「Stakeout」は張り込みという意味を持ち、本作品は、張り込み的に世界を見ながらも「どのようにして、直接的には自分と関係していないものと自分は接点を作ることができるのか」という問いによって探求がなされている。

今年、山本は些細なきっかけで再会した友人に付き添い、手探りで張り込みを行う機会に同行した。見知らぬ町の片隅に駐車し、中から張り込みを行っていると、一方的に対象を見ている負い目や緊張から自分も何かに監視されているように感じられる。このようにして、車の窓という、時折マジックミラーの効果を持つものと、不特定の被写被写体張り体り込み中に感じる視線の先にあったものを同時に見せるというインスタレーションが構想された。

特異な状況でものを見る体験のみならず、この体験についての純粋な衝撃や、当事者ではなく付き添い人として現場に居合わせた状況も、この作品を制作する上では山本に影響を与えた。この張り込みを体験した後もしばらくその感覚が体に残っていたと山本は言う。張り込みはシャッターチャンスを待つという行為に近いかもしれない。しかし「Stakeout」は、張り込みと撮影行為に共通性を見出すよりも、自分を圧倒してきた経験に新たな接点を作るということを目的としていたといえる。