2008年結成。蓮沼執太、石塚周太 (Gt.)、itoken (Dr.)、尾嶋優 (Dr.)、斉藤亮輔 (Gt.)から成る、ツイン・ギター、ツインドラムのベースレス・バンド、蓮沼執太チーム。初のスタジオ・レコーディング音源、Tortoise「Seneca」のカバーをリリース。

蓮沼執太チームは、蓮沼執太フィルの母体となっているアンサンブルである。蓮沼執太が2001年、高校3年生の時に聴いたTortoiseの楽曲「Seneca」。アメリカ国旗がコラージュされた政治的メッセージの強いアートワークのアルバム『Standards』に収録され、イントロの歪んだギターとドラムのサウンドに大きな衝撃を受けたという。アルバムリリース同年、蓮沼の誕生日である9月11日にアメリカ同時多発テロが発生。歌や言葉が無いインストゥルメンタル・バンドからも政治的な思想や姿勢を実感した楽曲が「Seneca」だったと話す。そして蓮沼は、チーム編成のライブで頻繁にこの楽曲のカバーを演奏してきた。

今回の蓮沼執太チーム「Seneca」は、レコーディング・エンジニアに葛西敏彦、ミックス・エンジニアにTortoiseのJohn McEntire、マスタリング・エンジニアはDave Cooleyが担当。ツインドラム、ツインギターによる軽快な掛け合いと、蓮沼によるEMS Synthi、SEQUENTIAL Prophet-6、ARP ODYSSEYのアナログ・シンセサイザーがJohn McEntireの手に寄ってモジュレーションされることにより、大きな変化がもたらされている。2001年に生まれたプロテストソングが、2008年に生まれたバンドによってカバーをされ、2025年の現代の音として世界に響き渡る。今もなお世界情勢の不安定な状態が続く日々に対し、Tortoiseへのリスペクトを込めて、現代のプロテストソングとして放たれる。