音楽レーベル〈Squama〉の主宰で、自身もプロデューサーとして活動するMartin Brugger。絶賛されたデビュー作『Music For Video Stores』以来、5年ぶりとなる待望の2ndアルバム『The Shell』をリリース。

『The Shell』では自らの内面へと目を向け、フィールドレコーディング、ノイジーなシンセ、そしてフォークギターのローファイナテクスチャーを織り交ぜながら、親密で夢幻的な楽曲群を編み上げている。削ぎ落とされたアレンジとアナログな質感が、脆くも静かな没入感のある空気感を生み出し、“恐怖と充足”、“躊躇と解放”の間に流れる緊張感を映し出す。

アルバムのタイトルは、Vicki Baumの1929年の小説『グランド・ホテル』の一節(「彼は今、これこそが人生における唯一の道であることを知った。恐怖と喜びは、実と殻(nut and shell)のように不可分なものであるということを」)から取られており、制作過程でBruggerの心に深く共鳴した言葉である。「意味のあるものを創造するためには、不確実な状況の中を突き進まなければならない」という理解が、このアルバムの指針となった。

今作の大部分は孤独の中ミュンヘンのスタジオで制作された。アルバムが誕生した背景には、一度は完成させた次作の全音源が、自らの直感に忠実でないと感じ、それを捨てるという苦渋の決断があった。祖母から譲り受けたナイロン弦のギターに立ち返り、スマートフォンの録音データやテープエコー、アナログ機材を駆使しながら、より緩やかで手触りのある手法を採用。不完全さや、その時々の生の瞬間が音楽を形作っていくことを受け入れる形で制作が進められた。アルバムについて、Bruggerは次のように語る。

このアルバムを聴くと、ある特定の瞬間に注ぎ込んだ感情を追体験することができ、それは私にとって最大の喜びだ。世の中にある最も洗練された作品ではないかもしれないが、制作において自分に正直であったとは断言できる。これが今の自分にできるすべてであり、今の私にとって何よりも大切なことなのだ。
– Martin Brugger


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