スコットランドの北西に位置する孤立した諸島、セント・キルダから、一風変わったバンドが登場。Garefowl。Ewan Macdonaldと、その父 Murdo を中心に構成されており、その家系は1840年に最後の一羽となったオオウミガラス(Garefowl)を殺した人物の親族にあたる。彼らはこの重い家族の歴史を反映し、記録に留めるためにこのプロジェクトを始動させた。
そんな特異な背景から出発したGarefowlが、ニュー・アルバム『Things That Vanish』を〈AD93〉からリリースすることを発表した。先行で収録曲「Buthaigir/Puffin」を公開した。

本作はセント・キルダの主島であるヒルタ島にて、夜間にレコーディングされた。アルバム全編には、風のうねり、波の音、鳥たちの鳴き声、そしてタシギが奏でる幻想的な羽音など、ヒルタの音響風景が息づいている。セント・キルダの伝統的なフォーク・ミュージックから影響を受けた本作の楽曲は、絶滅の危機に瀕する海鳥たちに着想を得ている。
バンドは、これらの鳥たちをめぐる民間伝承に強い関心を寄せている。物語の中で鳥たちは、しばしば原始的で暗く、心霊的な存在として描かれる。時には子牛や羊を襲う「海の怪物」のような性質を持ち、溺死した船員の魂や、残酷な船長の呪われた霊が宿っていると信じられてきた。本作はそうした不気味で魅惑的な伝承を音楽へと昇華させている。

制作面においても、極めて独創的な手法が取られている。音像のすべてはセント・キルダで収集されたフィールド・レコーディングやハイドロフォン(水中マイク)による録音素材のサンプリングと加工によって構築された。さらに、Richard O’FlynnとJoe Gardnerが開発した画期的な手法によるドローン音も取り入れられている。これは島で採取された岩石や骨のサンプルをX線回折(XRD)で分析し、その化学組成から得られたスペクトルをサイン波にマッピングして生成されたものだ。

家系の罪という特異な背景から出発し、科学的アプローチと神秘的な伝承を融合させたGarefowlの音楽は、単なるアンビエントやフォークの域を遥かに超えている。失われたものへの追悼と、島の厳しい自然が放つ圧倒的な生命力が共鳴するこの野心作は、リスナーを北海の果てにある孤独な島へと誘うだろう。音の深淵に触れるような、唯一無二の聴覚体験が明らかになるのがとても楽しみだ。


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