Pitchfork「 BEST NEW ALBUMS」にBlack Country, New Road、Cate Le Bon、Animal Collectiveの3作品が選出！
Pitchforkが発表した最新の「BEST NEW MUSIC」にBlack Country, New Roadの『Ants From Up There』、Cate Le Bonの『Pompeii』、Animal Collectiveの『Time Skiffs』が選出。一度に3作品が同時に選出されるのは異例。ここで、各作品を簡単にご紹介。
Black Country, New Road – Ants From Up There
UKの大所帯バンドBlack Country, New Roadによるセカンドフル。前作『For the first time』は昨年全英アルバムチャート4位を獲得し、同年のマーキュリー・プライズにもノミネートされるなど、デビュー作ながら世界中の音楽リスナーがこぞって話題にするアルバムであった。
クレズマーやポストロック、オーケストラミュージックを網羅した実験的なサウンドからは打って変わり、今作『Ants From Up There』はクラシック、ないし流麗で内省的なサウンドアプローチへと舵を切った作品となった。彼らなりの「ポップ・ミュージック」を追求して完成させたという本作には、深いところに根ざしたバンドの信念を詰めこまれ、メンバー自身も大きな満足を感じているという。
そしてアルバムリリースを目前にして、ボーカルを務めていたIsaac Woodがバンドを脱退することを発表。今作が彼の参加する最後の作品となった。ここまでの活動の集大成に位置づけるにふさわしい作品であり、今後の動向にもますます期待が膨らむ希望の一枚。
Cate Le Bon – Pompeii
UKはウェールズ出身のシンガーソングライターで、現在はカリフォルニアを拠点に活動するCate Le Bon。通算6枚目のフルアルバム。マーキュリー・プライズにもノミネートされ大きな反響を呼んだ前作『Reward』から3年ぶりの作品となる。曲は主にベースで書かれ、作曲は彼女が単独で行った。また、ドラムとサックスを除く全ての楽器を彼女がプレイするという、マルチな才能を存分に発揮させたアルバムに仕上げている。
自身のアーティスト活動以外にも、これまでに多くのアーティストのプロデュースやサポートを行い、直近ではCourtney Barnettの最新作『Things Take Time, Take Time』でベースをプレイするなど、多岐にわたって動いてきた彼女だが、それらの経験が傑出して生まれたのが本作『Pompeii』とも言える。TOPSをも彷彿とさせるバロック〜シンセポップから、Ariel Pinkに匹敵する湿潤なウィアードポップまで。幅広く、そして彩り豊かに展開されるその音楽からは、現代のアーティストの中でも群を抜くものを感じさせる。
Animal Collective – Time Skiffs
長年にわたってUSのインディーシーンを牽引してきた4人組。結成から20年を迎えてリリースされる最新作『Time Skiffs』は、彼らの得意とするアーティスティックでポップな遊び心に溢れた一枚。スタジオ・アルバムとしては2016年の『Painting With』以来、実に6年ぶり。
先行きの見えない今の世の中。『Time Skiffs』はそのような世界で生まれる不安や困惑といったネガティブなイメージを詰め込みながら、同時に生きることへの喜び、そして愛や人生に対する期待も表現した作品である。その様相はアルバムの中のさまざまな音のテクスタイル、テンポの緩急から感じ取ることができる。
サイケ、エレポップ、アジアン・ミュージックと、雑多な音楽を一度に混ぜた、摩訶不思議でどこか幻想的な今作は多くの人の心にスウっと馴染み、安らぎを与えてくれるであろう。さすが、キャリア20年たるものをここぞとばかりに見せつけ、完全にやられてしまう圧巻の傑作、ここに。