Interview – So Young Magazine

世界のインディーシーンをサポートするイギリスの音楽マガジンSo Young Magazine。マガジン作り始めの経緯から新設レーベルSo Young Recordsまでたっぷり聞きます。

ー最高の新人イラストレーターによる最高の新人バンドの鮮やかなイラスト、それがSo Youngなんだー

So Young Magazineがどのようにスタートしたのか教えてください。

Josh: So Youngを始めたのは、僕たちが大学を卒業した頃だったね。僕はイラストレーションのコースを卒業し、何か面白いプロジェクトを探していたんだ。僕とサムの友情はお互いの好きな音楽によって築かれ、続いているんだ。この時、僕たちはDJグループを始めて、定期的にイベントを開催していたんだ。でもサムがレディングから戻ってきてPalma Violetsというバンドを見たと話した時に、僕たちはジャーナリストになろうと考えたんだよね。サムは常に新しい音楽に目を向けていたんだけど、僕の心に最初に響いたバンドがPalma Violetsだったんだ。彼らのミニマルなサウンドと美学は、僕が好きなパンクのファン雑誌を思い出させてくれたんだ。当初のアイデアでは、このような新しいバンドを特集した白黒コピーのジンを作ることだったんだ。このアイデアは今のSo Youngに近い、フルカラーのジンへと進化していったね。最高の新人イラストレーターによる最高の新人バンドの鮮やかなイラスト。それがSo Youngなんだ。

<Palma Violets>
ロンドン発の4人組ロックバンド。イギリスの老舗レコードショップ・レーベルRough Tradeの創始者ジェフ・トラヴィスが一曲だけ聴いて即契約したという話も。当時、次世代のUKシーンを牽引すると期待されていた。デビュー前にしてNMEで表紙を飾り、新人の登竜門とも言われる「BBC Sound of」に2013年に選出。若き日の疾走感、恋、情熱を落とし込んだ楽曲とエネルギーに満ちた「王道」のUKロックが光る。バンドは惜しくも2016年に解散。

マガジンは今どのように運営されているのですか?

Josh: Sam(Ford)と僕(Josh Whettingsteel)は2人でSo Youngを始めたんだ。今でもSo Youngのあらゆる分野を一緒に運営しているよ。でも今では、一緒に働くライターやブッカー、イラストレーターの規模は大きくなっているね。

新しいアーティストをどのように見つけ、コンタクトをとっているのですか?

Josh: イラストレーションに関しては、新進気鋭の才能を見つけるには、やはりInstagramが一番だと思うね。僕たちのもとにはたくさんの作品が送られてくるんだけど、多くの人が僕たちのプロジェクトに参加したいと思ってくれていることに、いまだに驚かされるよ。

Sam: 音楽の世界では、新しいアーティストを見つける方法はひとつではないんだ。ライブで見つけたり、直接デモを送ってもらったりするような昔ながらの方法であったり、信頼できるマネージャーのネットワークや、宣伝、レーベルから情報を得る場合もあるんだ。僕たちのライターもまた、新しい音楽を見つけることに対してとてもハングリーだから、彼らから情報をもらうこともあるね。パンデミックの中、ヴェニューが閉鎖されていた間の大きな空白を埋めるためにBandcampのようなサイトを閲覧することが多かったね。連絡を取り、僕たちは可能な限りバンドと直接関係を持ちたいと常に考えているんだ。たとえそれが簡単なメールでも、ショーに招待したとしても、雑誌に載っているバンドで僕たちが直接(インタビューではなく会話で)話したことのない人たちは全くいないよ。そのような関係性が僕たちにとってはとても大事なんだ。

ー僕たちは、So Young Magazineという雑誌そのものが活動の中で最も重要だと考えているんだ。ー

So Young Magazineの今後の予定を可能な限り教えてください。

Josh: 僕たちは、So Young Magazineという雑誌そのものが活動の中で最も重要だと考えているんだ。だから僕たちの主な目標は、常に物事を動かし続け、雑誌をリリースし続け、音楽と芸術の世界の中で僕たちを魅了するものすべてを記録し続けることなんだ。

このコロナ禍によって、So Youngの活動は影響を受けましたか?

Josh: クリエイティブ業界への影響はまだまだこれからだと思うね。パンデミックが発生した当初は、広告主のほとんどを失い、予定していたイベントもすべて中止になったんだ。ちょっとした打撃を受けたんだけど、インデペンデントコミュニティのみんなは本当に団結していて、創造的な解決策を見つけてみんなを支えあったんだ。うまくいけば、私たちがまたライブに行けるようになる日もそう遠くないと思うよ。

今、The Windmill出身のアーティストの多くが人気を集めていますが、次のThe Windmillになりうる場所はどこだと思いますか?

Josh: パンデミックは、音楽の世界でこのようなシーンが生まれることに大きな影響を与えていると思うんだ。だから、この後どのようなアーティスト、ムーブメントが出てくるのか興味深いね。僕は1つの場所にこだわらない新しい形で、より強くなって戻ってくるのではないかと思うんだ。しかし、アンダーグラウンド・ミュージックにおけるThe Windmillの地位は、もはや確固たるものになっていると思う。このヴェニューには、愛が溢れているんだ。この素晴らしいコミュニティーがWindmillを支えてくれると思うよ!

ーSo Young Magazineを創刊したときから、レーベルを立ち上げることが夢だったんだー

日本のバンドや文化で注目しているものはありますか?

Josh: 僕たちは最新号で特集した、大和那南(Nana Yamato)が大好きだよ!僕たちは日本の音楽シーンの大ファンでもあるんだ。Big Love Records(世界的に有名な日本のレコードストア・レーベル)は長い間僕たちをサポートしてくれているんだ。本当にありがたいことだよ。君たちORMの活動やLocal Alliance(ウィンドミルやその周辺アーティストとのコラボマーチを販売する日本のアパレルブランド)が行なっているコラボレーションもとっても大好きだよ!

<大和那南・Nana Yamato>
現役大学生の日本人アーティスト。ANNA名義から大和那南となり、今年デビューアルバム「夜明け前 (BEFORE SUNRISE)」をリリース。同作は大手音楽サイトPitchforkから7.6点という高評価を獲得。群雄割拠な2021年の音楽シーンでも指折りの完成度かつ、唯一無二の音楽性が光る。

So Young Recordsの設立を発表したばかりですが、なぜこのレーベルを立ち上げたのか、そしてこれからの予定を可能な範囲で教えてください。

Josh: So Young Magazineを創刊したときから、レーベルを立ち上げることが夢だったんだ。これまでSo Youngでやってきたことが、今回のSo Young Records設立につながっていると感じているよ。僕たちがSo Youngをキュレートする方法は、自分たちの小さなレーベルのように感じていて、紹介するバンドはすべて慎重に選んでいるんだ。たとえ、So Youngの特集が彼らにとって最初のプレスや最初の紙面での特集、そして僕たちが最初のギグに呼んだとしても、それがバンドという物語の中でステップアップのきっかけとなってほしいと考えているんだ。So Young Recordsは僕たちの物語の中で、最高にクリエイティブなプラットフォームを形成するという意味で納得のいくステップだと思うよ。僕たちはこのレーベルに大きなビジョンを持っているんだ。詳細はまだ明かせないけど、これから数か月の間に信頼しているアーティストのみんなと沢山の音楽をリリースしたいと思っているから、楽しみに待っていてね!

日本の読者へメッセージをください!

Josh: ここ数年、日本の読者の皆さんのご支援は僕たちにとって非常に大きなもので、感謝しているよ。近いうちに日本を訪れたいと思っているけど、それまでの間は日本限定のコラボレーションをいくつか考えているから、期待していてね!また、Big Love RecordsはSo Young Recordsからリリースされた最初のレコード、Folly Groupの”Awake and Hungry”を取り扱う予定だよ。僕たちの活動をサポートしてくれているORMの皆さんにも感謝しているよ!ありがとう!


■ Release Information

Folly Group – Awake And Hungry

Release:6/11/2021

Label:So Young Records


Biography

So Young Magazine

Josh WhettingsteelとSam Fordを中心としたインディーミュージック雑誌。ライブハウスでの下見や自身の幅広い繋がりから数多くのアーティストをフィーチャー。挿絵のイラストレーターたちはSo Young自身で選別し仕事を依頼。ほとんどの仕事をDIYでこなす、近年でも珍しいプロジェクト。先見性とクリエイティブな精神が多くのアーティストや業界人からの信頼を獲得し、現在では定期購読サービスを販売するまでに至る。過去にはWolf Aliceやshame、Sorryなどを取り上げ、インディーシーンを盛り上げる最重要ポストを担う。今年から新たにレーベルSo Young Recordsを立ち上げ、Folly Group、Lime Garden、Lazarus Kane、VLUREが所属。