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実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ「MODE」が、世界的な文化アイコンであるPatti SmithとNY / ベルリンを拠点に活動する現代音響芸術コレクティヴのSoundwalk Collectiveによる最新プロジェクト「CORRESPONDENCES」を東京と京都で開催する。

「CORRESPONDENCES」はPatti SmithとSoundwalk Collectiveによる10年以上におよぶ協働プロジェクトで、さまざまな地理や歴史、自然環境を横断する作品としてエキシビションとパフォーマンスの二形式で発表が行われる。エキシビションは4月26日から6月29日まで東京都現代美術館にて、パフォーマンスは4月29日(火・祝)にロームシアター京都 サウスホール(京都)、5月3日(土・祝)に新国立劇場 オペラパレス(東京)にて開催。

この2組の出会いは、飛行機の機内で偶然出会ったことから始まった。その創造的な共同制作は10年以上にわたって継続し、べネチア・ビエンナーレやコロンビアのメデジン近代美術館など世界各地でライブパフォーマンス、展覧会、上映、詩の朗読会、ワークショップと多岐にわたり作品を発表してきた。2022年にはパリのポンピドゥー・センターで展覧会「Evidence」も開催している。

現在進行中で絶えず進化し続けるこのコラボレーションプロジェクトは、さまざまな土地の「音の記憶」を呼び起こし、芸術家や革命家、そして気候変動の継続的な影響の足跡を体現している。

Soundwalk CollectiveのStephanが詩的な霊感や歴史的な重要性をもつ土地を訪れ、フィールドレコーディングによって「音の記憶」を採集し、Pattiがその録音との親密な対話を重ねて詩を書き下ろし、さらにそのサウンドトラックに合わせてSoundwalk Collectiveが映像を編集する。こうした“往復書簡(=コレスポンデンス)”によって生まれたのが、本エキシビション/パフォーマンスの根幹を成す8つの映像作品だ。これらの映像は、チェルノブイリ原発事故や森林火災、動物の大量絶滅といったテーマを探求するとともに、Andrej Tarkovskij、Jean-Luc Godard、Pier Paolo Pasolini、Pjotr Aljeksjejevich Kropotkinといった芸術家や革命家を参照しながら、人間と自然の関係やアーティストの役割、人間の本質についてを観るものに問いかける。

日本へ初上陸したPatti SmithとSoundwalk Collectiveによるこの共同プロジェクトは、社会で生活する人間として、文化を愛する者として、自然の恩恵を受けて暮らす生き物として、体験しなくてはならないイベントである。


– Patti Smith –

詩人、画家、パフォーマーとして半世紀以上にわたり創作活動を続け、70年代のNYアート・カルチャーシーンを代表しする伝説的なアイコン。デビューアルバム『Horses』は詩とロックを融合させた革新的な作品として音楽史に名を刻み、Sonic YouthのKim GordonやPJ Harveyをはじめとするパンクとロックおける表現の可能性を切り拓いた。また、写真家Robert Mapplethorpeの出会いやAndy Warholをはじめとするアーティストたちとの交流により、影響を受けた彼女の創作活動は音楽だけにとどまらず、写真やドローイングの展覧会やパフォーマンス、全米図書賞を受賞したベストセラー回顧録『Just Kids』をはじめとした散文や詩集から、反戦と人権問題、気候変動についてくり返し発言し、社会への積極的なコミットメントを続けている。

– Soundwalk Collective –

Stephan CrasneansckiとプロデューサーのSimone Merliが率いる現代音響芸術コレクティヴ。アーティストやミュージシャンとの共同作業により、コンセプトや文学、芸術的なテーマを検証するために、場所や状況に応じたサウンドプロジェクトを展開する。これまでに映画監督のJean-Luc Godardや写真家のNan Goldin、振付家のSasha Waltz、女優で歌手のCharlotte Gainsbourgらとの長期的なコラボレーション行い、アートインスタレーションやダンス、音楽、映画などメディアを横断したプロジェクトを展開。Nan Goldin追ったドキュメンタリー映画『All the Beauty and the Bloodshed』では劇伴を手がけ、同作は2022年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。