〈Norlha〉がチベット仏教で使われる布製の宗教画「タンカ」からインスピレーションを受けた2025SSコレクションを発表した。

チベットにて設立された〈Norlha〉は、地元の遊牧民を雇用し全てハンドメイドでアイテムを作り、伝統技術の継承と地域の経済的自立を支えてきた。そんなブランドが本コレクションの着想源にしたタンカは、チベット仏教において用いられる布製の掛け絵を指し、その折り目やしわに儀式と伝統のリズム、そして数多の「人生」が刻まれている宗教画である。

ガーゼや絹で作られたヴェールの役割の布は、画像を保護するために巻いたり広げられたりとあらゆる姿に形を変える。また、繁栄をもたらし邪気を払う、遊牧的かつ儀礼的な役割を持つタンカは最大限の敬意を持って丁寧に取り扱われ、チベットの遊牧の僧侶たちは、これを村から村へと教えを説いて周り、チベット文化において欠かせないものとして受け継ぐ。

年月とともに、自然にさらされ、あるいはバターランプや線香の煙が漂う祭壇の上に掛けられることで、タンカは消すことのできない生の美しさを帯びていき、そのテキスタイルの外衣(マントル)と、手縫いの織物の層は「布の扉」として鑑賞者を絵のイメージの中へと誘い込む。

本コレクションではこの触感的な質感と象徴性に着目し、繊細なプリーツ、計算されたレイヤリング、そして柔らかなフリンジを採用。「Chic Mud Wall Scarf」や「Feather Lichen Scarf」のテクスチャーと切りっぱなしの縁は、タンカのヴェールを留める絹のリボンや紐を想起させ、「Feather Raw Scarf」と「Chic Slit Scarf」は、タンカの布地に生じる柔らかな折り目や風合いを思わせる。ヤクウールとシルクの混紡素材を使用した織物は暖かな季節に向けてスカーフやプレタポルテに強さと柔らかな温かみをもたらし、「Feather Raw Skirt」と「
Feather Skirt」に施された手縫いのパネルやストリップは、タンカの中の経文を守る織物の層を反映した。

タンカのイメージを再現するために本コレクションは黄金色の麦わら、砂岩色、焦げた赤、墨黒、森林の緑、そして明るく激しい青などで彩られた。一方で、自然なヤクのグレー、白、茶色による落ち着いた色調は色あせたタンカの表情を思わせ、金色のアクセントは、タンカに施されることで信仰の場において善きカルマをもたらすと信じられている。

これらのタイムレスなアイテムは、チベット高原にて手作業で制作され、緻密な技術と土地に根ざした由来、そして伝統的な知恵とその誇りによって生み出された。一生ものとして長く使い、次の世代へと受け継がれること。このブランドの願いが共鳴を生み、あらゆる形で世界のいたる場所で響き合っていくに違いない。


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