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1980 年代初頭、絶大な人気を誇ったイギリスのバンド、Japanのドラマーとして知られるSteve Jansenによる個展「The Space Between」が2025 年 1 月 10 日(金)から1 月 23 日(木)にかけて開催される。

Steve Jansenは写真家としても活動しており、これまでに数多くの作品を撮影してきた。1981 年にPARCOで日本初の展覧会を開催して以来、KYOTOGRAPHIEに続く 3 回目となる本展覧会では、2022 年秋にJansenが来日して撮影した作品群が並ぶ。

今回の展覧会は、従来のオークションという概念に縛られずに、モダンアートから現代アート、デザインの新しい体験と価値観を提供するオークションハウス、〈NEW〉によって開催され、東京都心の建物が乱雑に並ぶ不規則な建築構造からインスピレーションを得た「レジステンシャリズム」というテーマのもと、Steve Jansenの作品が会場の空間を埋め尽くす。

このテーマは、無機物が人間に対して陰謀を企てているというユーモラスな考察で、無機質な物体がまるで悪意や敵意を持っているかのように感じさせる錯覚を引き起こす。本質的に、私たちがしていることは自分自身を映し出す鏡を掲げているに過ぎないが、Jansenはその視点から、都市空間における人々の営みを俯瞰することを問いかける。

それは、もはや都市に貢献する目的を果たしていないかのような見えないように捨てられたゴミや、閉ざされた出入り口に何枚も貼られたステッカー、建物の隙間から影のように見えるパイプやケーブル、ワイヤーなどの物体がそれでも「待機」しているようにも感じられること。また、人の出入りができなくなった建物の外側は常に風雨にさらされ、自然の力によって腐敗や雑草の成長が進行し、街を行く人々の頭上に絡み合う電線を覗き込むカラスは、私たちの視界の外に落ちているゴミを狙っていることなど、日常に溶け込む都市空間に対する問いかけである。

さらに、本展覧会の一環として制作されたオーディオ・インスタレーションには、東京都心を想起させる雑音、足音、金属音、ゴロゴロとした音、ビルの隙間や地下に響く残響音が含まれており、これらの音が都市の風景に影を落とすかのようにメロディーとリズムを構築する。

このようにして、全て新作で構成される本展では、音の風景と断片化された都市のイメージが想像力を掻き立て、東京の建築物の間にある隙間に気づき、立ち止まることを促す。与えられた記号を失い自由を得た素材が、都市生活の視覚的・音響的な物語を紡ぎ出し、スクリーンや音響を通じて浮かび上がらせる「その隙間」である日常の影を目の当たりにする体験は、私たちが生きる現実の本質を模倣しているかのようだ。

展覧会では、作品とじっくり向き合える空間が構築されるとともに、展示作品やオーディオ付きポストカード、Tシャツも販売される。世界中の都市を巡るJansenだからこそ表現できる、都市風景への鋭い解釈が反映された無機物が奏でる有機的な世界を、ぜひ体験してほしい。


DATE:2025. 1. 10 (FRI)より 1. 23 (THU)
OPEN : 12:00 – 19:00
PLACE:NEW
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目9-15 B1F