現代ストリートの具現を目指すブランドTamme。社会的規律からの静かな逸脱を探求した2026SSコレクション『After hours』を発表

現代ストリートの具現を目指すブランド〈Tamme〉が2026SSコレクション『After hours』を発表した。本コレクションでは、社会的規律と個性のあいだで生まれる、静かな逸脱の美学を探求。

「摩耗は消耗ではなく、規律の中で生きながら生まれる微細な個の言語なのです」と述べるデザイナーの玉田は、疲弊した後に脱ぎ捨てたシャツ、着たまま座っていた跡、猫背で少し張った後身頃、折り上がったカフス、肘に合わせてまくり上げられた袖を「生活に晒された身体の証」と解釈。そしてそれを抜け殻のような、身体のリズムが刻まれた痕跡や日々の輪郭としてコレクションに投影した。


ボクシーシルエットのダブルブレストにはデッキジャケットの前あきを重ね、レギュラーシャツは内側からストライプのシャツがせり出てきたかのような二重の構造として表現。遵守すべき規律が満足なほどに存在する中で、サラリーマンスタイルのスーツとミリタリーのユニフォームという異なる規律同士が重なり合うささやかな抵抗から、逸脱の意味をデザイン言語を介してあらわにした。

また相反する要素の共存は、楽観的に昇華しつつ日々の中で形作られた輪郭として汚れや擦れ、しわのうちに見出され、労働のアイコンでもある企業の制服を想起させる刺繍入りシャツや T シャツ、現場の衣服にリファレンスを得たダック、デニム、ナイロンウェアには加工によって「乱れ」が付与された。

そんな「雑さ」そして「無頓着」もまた、表層的なものと交わりながら規律に抗う個として機能した。

動きと時間を介して、かつては一律であった制服がその人だけの衣服に変質する。そして歪みともいえるズレが、個性を光らせる。日本で生活している人にとって、本コレクションに共感を覚える人は多いのではないだろうか。


■ Information

Tamme – 2026SS 『After hours』

Designer: Tatsuya Tamada 
Photographer : Genki Nishikawa (mild )
Styling:Taku Kato
Hairstyles and make-up : Yu Nagatomo (HOME AGENCY)
Look book models : VOVA (donnamodels) / KENYA (TOMORROW TOKYO) 
Casting : Kousuke Kuroyanagi(VOLO)
PR : Sakas PR 
Creative editor : Tatsuya Yamaguchi