Interview – Hovvdy
“「愛」を処理し、認め、感謝する”。昨年、数多くのメディアやライターから大絶賛されたアルバム『True Love』。壮大にも思えるテーマをありのままに描写し、優しく等身大なメロディで見事に楽曲に落とし込んだ。アートワーク、アルバム制作のプロセスから、オースティンのデュオの意外な日本との接点まで聞く。
ー「愛」を処理し、認め、日常的に感謝するー
– 初めに、簡単なあいさつをお願いします。
Will:こんにちは、Willです!
Charlie:そしてCharlieです!
– 今作『True Love』はバンドとして通算4枚目のアルバムになりますね。バンドとして感じる、これまでの作品からの変化について教えてください。
Will:『True Love』は一つのユニットのような作品だね。ソングライティング、そしてサウンドのアプローチにおいて一貫性がある。一方で過去のアルバムはどちらかというとごちゃ混ぜな感じ。今までに実現できなかったエモーショナルさ、そして歌詞の奥深さをアルバムにもたらすことができたのもとても面白かった。
– 今回の作品のコンセプトはどのようなものだったのでしょうか?
Will:『True Love』のコンセプトは本当にタイトルの通りだね。人生における「愛」を処理し、認め、それを日常的に感謝することを歌ったアルバム。
– 今作はNYのレーベル<Grand Jury>へ移ってから初めてリリースされるアルバムですね。移籍までの経緯について少し教えてください。
Charlie:(前作までをリリースしてきたレーベル)<Double Double Wammy>で過ごした時間はとても良かったよ。僕たちはバンドを始める前からレーベルの大ファンで今でも大好きだね。だけど『Heavy Lifter』リリース後に僕たちの契約は終わってしまったんだ。そこで<Grand Jury>は新しい選択肢としてワクワクすると思ったんだ。『True Love』やその他の新しい音楽の制作サポートはとても楽しいものだったし、彼らにはとても感謝しているよ。
– 今作は過去にBon IverやBig Thiefも手がけたことのある、Andrew Sarloが共同プロデュースに回ったとのことですが、彼とはどのように繋がったのでしょうか?
Will:Andrew Sarloとは僕たちのマネージャーを通じて知り合ったんだ。互いにそれぞれの音楽とアートのファンだった。
– 彼との仕事はどんな感じでしたか?
Will:彼はとても才能があって、整頓されていて、そして人を元気付けるのが上手な人なんだ。おかげで制作はとてもスムーズだったよ!
– アルバムや先行シングルのアートワークはグラフィック・アーティストのBradley Pinkertonが手がけたと聞きました。デザインは全て彼に任せたのでしょうか、それともお二人の方からも何か指示を出したりしたのでしょうか?
Charlie:Bradleyは真の音楽好きで、なおかつ自分の軸を持った魅力的なアーティストだから、彼とコラボするときはいつも充実したものになるよ。大体の場合、初めに彼に音源を送って、その後にいくつかのレファレンスやアイデアを投げるんだけど、彼はいつも仕事が早い。すぐに素晴らしいテクスチャーや色味の作品に変えてくれるんだ。お世辞なしで、彼は一度も僕たちのイメージから外れたことがないんだ!
ーオルタナ・カントリー・ミュージックを聴き込むようになって…ー
– メンバーのCharlieは昨年の4月にソロ・デビュー・アルバム『Imaginary People』をリリースしましたね。バンドとは別軸で“ソロ”として音楽活動するという計画は以前からあったのでしょうか?
Charlie:音楽でキャリアを築くことをずっと夢見てたんだけど、いずれ“ソロ”でアルバムを出すかもしれないとは思っていたんだ。パンデミックの間に本職を解雇されてしまっていつもより曲やアルバム制作に当てられる時間が増えた。そんな時に『Imaginary People』を完成させたんだ。
– 過去の作品もそうですが、Hovvdyはフォークをベースにしたサウンドを展開していますね。お二人の音楽的ルーツはどのようなものから来ているのでしょうか?また、幼少期に聴いていた音楽も教えてください。
Will:小さい頃からいろんな音楽を聴いてきたね。僕の母親はフォーク・ミュージックを、父親はWhitney Houstonが大好きなんだ。少し大きくなってから90年代のオルタナティブ・カントリー・ミュージックを聞きこむようになって、それ以降そのような音楽に見られる感性を掴むようになった。今でもああいう音楽(オルタナ・カントリー)は好きだね。
ーいろいろなことが本格的に動き出したような気がするー
– まだまだパンデミックは収まる気配がありませんが、今のオースティンの音楽シーンの状況について教えてください。
Charlie:11年くらいオースティンで過ごしてから、僕とWillは互いに別の街に引っ越したんだ。
– 引っ越していたんですね (笑)。
Charlie:そう。Willと彼の家族はウェーコ*1に、僕は妻とともにセントルイス*2へ。だから正直なところ、パンデミック的な観点でオースティンがどんな感じなのかを話すのは少し難しいかも。けれどSXSW*3での楽しそうな動画を見た限り、いろいろなことが本格的に動き出したような気がするね!
*1 ウェーコ (Waco):オースティンから北東に位置する都市
*2 セントルイス (St. Louis):ミズーリ州とイリノイ州に跨る都市
*3 SXSW(=読み:サウスバイサウスウェスト):テキサス州オースティンで開催される大型音楽・フィルム・アートフェスティバル。アメリカ国内外から多数のアーティストが集結し、エクスクルーシブなパフォーマンスを披露する。過去に日本からはCHAIやTempalayなども出演。
– このメディアが日本のものであることにちなんで、お二人が何か日本の文化で興味があるもの、または好きなものがあれば教えてください。
Will:日本は車無しでも生活がしやすいと聞いたことがあるよ。それってとても便利だね。テキサスは車にゾッコンだからね。ぜひ一度訪れて、いろいろなことを学んでみたいね!
Charlie:もちろん日本食はとても魅力的だよね!僕は過去にオースティンにあるラーメン屋さんで長い間働いていたことがあるよ。日本食は僕のそばにある感じ。加えて、日本の野球への愛にはとても感動しているよ!僕小さい頃に野球をしていたんだ。実は腹違いの兄弟のDrewは日本ハムファイターズで2シーズンプレイしていたこともあるんだ!残念ながらコロナ禍のシーズンだったから見に行くことはできなかったんだけどね…。でも近い将来日本に行けたらいいな!
– 最後に、日本の読者に向けてメッセージをお願いします!
Will:ここまでのみんなのサポートには本当に感謝しているよ!みんな愛してるぜ!日本でのツアーは僕たちの「やることリスト」の上位にあるよ!
– 今回はありがとうございました!
こちらこそありがとう!
■Release Information
ARTIST:Hovvdy
TITLE:「Everything」
RELEASE DATE:2022. 3. 16
LABEL:Grand Jury, Tugboat
■Biography
Hovvdy
アメリカテキサス州/オースティンのシンガーソングライターCharlie MartinとWill Taylorによるデュオ。(Sandy) Alex Gとツアーを周った経験も持ち、スロウコア、フォークなどに通じる穏やかで美しい楽曲が多くのインディー・ファンを惹きつけてやまない。昨年リリースしたアルバム『True Love』はDIY MagazineやPaste Magazineを始めとした音楽メディア各所で高評価を獲得し、ここ日本でも話題となった。先日、新曲「Everything」をUSのレーベル<Grand Jury>よりリリースした。