Interview – Wet Leg

突如として現れ、名門Dominoと契約した謎の女性二人組、Wet Leg。ストロークスが登場した時の衝撃を超えるのか。現UK音楽シーンで話題沸騰中のバンドの素顔に迫る。

※今回はWet Legのメンバーでギターとボーカルを担当するRhian TeasdaleにZoomインタビューしました。(インタビュー日:10/17)

ーまさかこんなことが起きるなんて…ー

– はじめに、お二人がどのようにして出会ったのかと、Wet Legが始まった経緯について教えてください。

私たちは17歳の時に大学で出会ったの。ワイト島にいた時はお互い別々のバンドを行ったり来たりしていたんだ。(ワイト島くらいの)小規模な音楽シーンだと他の人でもなんとなくお互いのことを知っていたりするのよね。一緒になって音楽をするようになったのは出会ってから10年後くらいだったかな。私はソロでの活動をしていて、イギリスのフェスとかのライブもいくつか決まっていたんだ。音楽、そして演奏することが本当に好きになっていたの。だけどどうも一人での演奏がキツくなってしまってね…。そこでHesterに一緒にライブで演奏しないか誘ったら引き受けてくれて、やがてたくさんのフェスに一緒に出演するようになったの。(活動開始)当初は今よりもっとフォークっぽくてメロウな音楽をやっていたね。私たちのギター演奏もとても影響されているんだけど、IDLESっていう大好きなバンドを生で見た夏を経て、今みたいなもっとポップな楽曲を書くようになったかな。

– バンド名はどのようにして思いついたんですか?多くの人が気になっていると思います(笑)。

バンド名って本当に面白いよね。一見あまり意味の無いように見えてもバンドの運命を左右したりすることがあるからね(笑)。私たちに関しては「絵文字キーボード*」っていうもので遊んでたの。「え、面白い!絵文字からバンド名を作れるんだ!」ってふざけてたわ(笑)。だからもし今後バンド名を決めるのに迷ったら絵文字キーボードを試してみて!

*絵文字キーボード:ランダムに絵文字の羅列を生成するソフト。指定の文字数を入力すると希望の字数でランダムに絵文字を抽出する。

– 君たちのステージはすでに超満員でUSツアーもソールドしたと聞いてます。すごいね!ここまでの盛り上がりについてはどう感じていますか?

私たちは二人とも唖然としているよ(笑)。まさかこんなことが起きるなんて思ってもいなかった!アメリカでのライブが決まるっていうこと自体も信じられないのに、そのツアーがソールドだなんて。「一体何が起きてるの?!」って感じ。毎日変なことが次から次へと起きていて、私も「ええっと…」ってなっているわ(笑)。だからそうね、とても驚いているし嬉しいけど、変な感じ。でもすごいなって感じてる。

– マンスリーのリスナー数も毎日増えていってるもんね!

ほんと!おかしくない?!(笑)

– 二人がDominoと契約した経緯について聞かせてください。

それもまたおかしな話で…。彼らとサインした時、私たちはロックダウンの最中で。初めに私たちのマネージャーがいくつかのレーベルにコンタクトを取ったの。小さいインディーレーベルからDominoクラスの大きめのインディーレーベル、それからメジャーまで。そしたらDominoが私たちのことを気に入ってくれて。でもすごく変な感じだったわ。なぜなら彼ら(=Domino)は私たちのライブにまだ見に来たことがなかったから。そもそも(ロックダウンで)ライブが自体なかったからね。

ロックダウンの間に私たちは2つミュージックビデオを作っていたの。「Chaise Longue」のビデオともう一個別の曲のものをね。それからHesterのボーイフレンドと一緒に4曲レコーディングをしたわ。これらの曲はSoundcloudにあげていたの。だから(サインした当初は)手元に4曲のSoundcloud音源と2つのMV、そして腕の良いマネージャーがいたってところかな。それがのちにDominoがオファーを持ちかけてくれることに繋がったという感じ。けれど(契約は)とても怖かったわ(笑)。なんせDominoの人たちはまだ私たちの演奏を生で見ていなかったからね。彼ら(=Domino)はワイト島にある私たちの練習部屋を見にきて、リハーサルも見てくれた。それはそれは緊張したわ(笑)。

– Dominoの人が実際にワイトまで来たの?!すごい!

ほんと、びっくり!

ーバンドの世界観みたいなものを作り上げたくてー

– ワイト島をGoogleマップで検索してみました。とても綺麗なところだね!何かおすすめのスポットや食べ物はありますか?

たくさんあるわ!西ワイトはとても綺麗で環境も美しく保たれた場所よ。アトラクションでニードルズ・ホリデー・パークっていう場所があるんだけど、本当はそこ、秘密にしたいの。というのもアラム・ベイ・ビーチって言う最高のビーチがその麓にあるから。すごく綺麗な石灰石の崖があって、干潮時には滑らかに削られた石に沿って歩けるの。自分だけの空間みたいな感じがしてとても良いのよ。

– いつかワイト島に行けたらいいな…

ぜひ!来た方がいいよ!

– 1stと2ndシングルのMVに登場する家は同じだと思うんですが、これは何か意味があっての設定だったのですか?

そうね、あれはHesterのお母さんの家なの。超イケてるでしょ?バンドの世界観みたいなものを作り上げたくて、それで2つ目のMVでも田舎の大地のノスタルジックな世界観を引き継ぐのが面白いかもねって思ったの。1stと2ndを繋げるのに適したスレッドだと思ったわ。

– 二つの曲(=「Chaise Longue」「Wet Dream」)のインスピレーションや制作背景について教えてください。

「Chaise Longue」は確か2018年のクリスマス頃にできた曲だったかな。私はHesterと一緒に過ごしていた。今はロンドンに住んでいるからワイトに戻るといつも彼女と彼女の家族と一緒にいるんだ。Hesterはいつも私のために家に置いてある「Chaise Longue=長椅子」をベッドのように準備してくれるの。いつも私はそこで寝るからね。本当は数日間の滞在の予定だったんだけど、あまりにも楽しすぎて6週間くらい居間にいさせてもらった気がする(笑)。よく夜遅くまで起きてクッキーを焼いたり、ギターペダルに小さい宝石みたいなのを付けて遊んだわ。あとは夜中にジャムセッションをしたりもした。「Chaise Longue」はその一連の出来事から即興で生まれた曲だったわ。

それから「Wet Dream」ね。私に彼氏(元カレ)がいて、彼がどうも「君のことが夢に出てきたんだ」とかのメッセージを送ってくる変なフェーズにいたの。別れた後なのに。だからそうね、あの曲はそのことを頭に片隅に置きながら書いた曲だったわ(笑)。

– 今よりも若かった頃はどんな音楽を聴いてましたか?

7〜8歳の頃はよくミュージカルを聴いていたわ。全然クールじゃないよね(笑)。そこから多分14〜15歳くらいの時に年上の兄弟のiTunesを譲ってもらった。BjorkとかJoanna Newsomを好んで聴いていたね。Beastie BoysとかA Tribe Called Questも中に入っていた気がする。それからまた大きくなって自分のiTunesとかSpotifyを持つようになってからDevednra BanhartとかLaura Marlingみたいな、もっとフォーク寄りのものを聴くようになったわ。それからロックを好む時期に突入した気がする。例えばKings of LeonとかThe Strokes、Black Rebel Motorcycle Clubみたいなね。私とHesterはWet Legを始めた時、本当にたくさんの音楽を聴いていたけど、今思えばそのロックで砕けた音楽性みたいなものから影響を受けていると感じるね。

– なるほど。学生時代はどんな人だったんですか?

子どもの頃から私はずっと外向きな性格だったな。あんまりHesterの代弁みたいにはなりたくないけど、彼女はいつも静かで柔らかな人だった。だから私たちは二人合わせて「陰と陽」みたいな感じね。

– 最近気になっているバンドやアーティストは誰かいますか?

ロンドン出身のバンドでHoneyglazeっていうバンドがいるんだけど、今は彼女たちに本当に夢中なの。まだシングル一つしか出していないけど彼らのショーには何回か行ったことがあって本当に素晴らしかった。今はDan Careyとレコーディングしているみたい。Katy J. Pearsonもすごく好きだし、CMATもライブが本当に凄かった。彼女のボーカルは力強くてパワフルで曲はカントリーぽいんだけど、歌詞のほとんどはKFC(ケンタッキーフライドチキン)やInstagramのことが書かれているの。本当にクールなパフォーマーよ。いろんな新しい曲に出会えるからフェスやライブに行くのは最高よね。

– Dan Careyについてですが、「Wet Dream」で彼と一緒に制作していましたね。彼はどんな人物ですか?

本当に最高な人ね。何人かでレコーディングしているときにプロデューサーを探してて、私たちの担当者がDan Careyを紹介してくれたの。彼と会った時、「オーマイガー、超カッコ良い…」って言ったのを覚えてる(笑)。(レコーディングは)本当に楽しかったし、楽しくやることは私とHesterが常に大事にしていることだから良かった。Danは本当に優しくて音楽を愛している。それに、自分がやっていることに情熱を捧げている彼はとても魅力的だし、そういう人が周りにいる時って常にいい雰囲気があるよね。

– 少し話題は変わりますが、音楽以外に何か趣味はありますか?

Hesterは宝石商(職人)で、だから趣味というよりかは仕事って感じなんだけど、彼女はものを作るのが得意でね。今首につけているこのネックレスも彼女が作ってくれたの!“Wet”って彫られてるの!Hesterが“Leg”の方を持っているわ!他にはよくローラースケートとかロングボードダンスをしたりして遊んでるわ。ツアーの時は自分のローラースケートとロングボードを持っていてクロスステップしたりして楽しんでいるよ。

ーセブンイレブンとコーンスープー

– 日本に対してはどんな印象を持っていますか?

確か5年くらい前に行った気がするわ。私のお姉さんが岐阜で英語の先生をしていたの。(自分の国とは)全然違くて、並行世界のように感じたわ。あとはそうね、セブンイレブンが最高だった!それに自動販売機で売られてるコーンスープには本当に驚いた。すごい国だったわ、みんなとても親切だったし!またいつか行きたいね!

– 最後に、今後の予定を教えてください。また、日本の読者へのメッセージもお願いします!

たくさんのツアーね!近々shameのサポートをするよ。彼らはとてもカッコいいからほんと楽しみ!あと来月には新曲をリリースする予定!それで来週にはMVを作るつもり。今の時点ではレコーディングに取り組んでいて、もしかしたら来年の春か夏頃にアルバムが出せるかも。まぁでもまだまだ先の話だね。

日本の読者へのメッセージね.. そうだなぁ…こんにちは?!そして初めまして。いつか日本に行けるといいなと思ってるよ!もし私たちのライブに来たら声をかけてね。それでセブンイレブンのおにぎりを差し入れしてちょうだい!(笑)

– ハハ!おにぎり!ほんと美味しいですよね!日本にもFUJI ROCKとかSummer Sonicみたいなフェスがたくさんあるし間違いなく多くのファンが君たちのショーを見たいと思っているはず!

それが本当なら超すごいね!オーマイガー。もし実現したらとてもおかしいね。けどこれだけおかしなことが今起きているんだから何がこの先起きるかはわからないね!


■ Release Information

Wet Leg – Chaise Longue

Date:11/26/2021

Label:Domino Recordings、Beatink

Product No:RUG1232


■ Biography

Wet Leg

イギリス本島の南に位置する島、ワイト島出身の女性Rhian TeasdaleとHester Chambersからなるバンド。インディー名門レーベルDomino Recordingsと電撃契約したのちに、デビューシングル「Chaise Longue」をリリースすると、同曲がYouTubeで100万再生を超えるスマッシュヒットを記録。NMEやDORKを始めとした音楽メディアからアメリカのABC NEWSもこぞって取り上げる注目株に。2021年9月には2ndシングル「Wet Dream」をリリース。Spotifyの「The Indie List」やApple Musicの「New In Rock」などの大型プレイリストにリストインした。ますます注目度を高める中、先日BBCの人気企画、「Later with Jools Holland」で「Chaise Longue」を披露した。