Interview – Maxband

Parquet Courts のドラマー Max Savage と A Beacon School の Patrick J Smith 率いるブルックリンのバンド Maxband。自分に正直であり続けたバンドのデビュー・アルバム『On Ice』に至るまでの経緯に迫る。

ー バンドでギターを弾きたいということ以外、特に方向性はなかったんだ ー

初めに、バンドがどのように始まったか教えてください。

Max : 僕のパートナーが一緒に学校に通っていたTimを紹介してくれて、僕が彼にバンドをやらないかと提案したら受け入れてくれた。そして、TimとPatrickは高校の同級生で、PatrickはEricと一緒にバンドをやっていたこともあってこの4人のメンバーでバンドが始まったんだ。

– メンバー同士はもともと知り合いだったんですね。Maxbandというシンプルなバンド名、Max以外のバンドメンバーはどう思っていますか?

Eric : 実は、このバンドはもともとPerfect Strangersという名前だったんだ。昔リリースしたデモのタイトルもこのオリジナルネームにちなんだものなんだ。Maxbandという名前になる前、PatrickとMax、僕の3人でウェスト・ヴィレッジのバーで​​バンド名を変えようと話し合ったことがあるんだ。記憶が曖昧なんだけど、その夜は何杯か飲んで、Patrickが隣にいたハゲた頭の男がAmazon.comの創設者Jeff Bezosだと私に信じ込ませたりとか、一晩中冗談を言い合ってたんだよ(笑)。そんな冗談を言い合っているうちに、流れでMaxbandっていう名前の方が面白いんじゃないかという話になって決まったんだ。だから、深い意味はないし、僕らも反対はなかったんだよね。

– バンドの中心、MaxはParquet Courtsでドラムをやっていますが、このバンドを始める際、何か意識的にParquet Courtsと区別する点はあったりするのでしょうか?

Max : そこまで意識はしていないんだ。たしか、最初に書いた曲はParquet Courtsっぽくなくてシューゲイザーみたいだったと思う。でも、バンドでギターを弾きたいということ以外に、特に方向性はなかったんだ。

勢いと感覚

– デビューアルバム『On Ice』がリリースされました。おめでとうございます。今作はデビューEPに引き続き、イギリスに拠点を置く〈Holm Front Records〉 からのリリースということで、まずは彼らとの出会いについて教えてください。

Max : ありがとう!MaxbandがブルックリンのBaby’s All Rightで彼らのバンド、Sports Teamのオープニングを飾った時に、このレーベルを運営している人たちと知り合ったんだ。それ以来、連絡を取り合いながらお互いの音楽を追い続けているんだ。

– なるほど。〈Holm Front Records〉は以前にオランダのPersonal Trainerと契約したりなど、国籍は関係なく彼らの世界観と共鳴するバンドを大切にしていますね。

Max : そうだよね。 結局、そういった感覚が一番大事だからね。

– アルバム・タイトルの『On Ice』に込めた意味・想いを教えてください。

Max : このアルバムのプロデュースを担当したJonny Schenkeが、レコーディングが終わった夜に思いついたんだ。バーに出かけて、Patrickが「よし、アルバム・タイトルを決めよう!」と言ったら、Jonnyがすぐに「On Iceはどう?」と言った。完璧だと思ったね。

ー それこそが僕らの目標だった ー

– Maxbandの最大の特徴はなんと言ってもメロディーの良さにあると感じています。Parquet Courtsにも通じるガレージから、オランダのダウナーなポストパンクの香りもあり、今回のアルバムはそんなバンドの表現力が十分に発揮された作品になっていると思います。

Max :ありがとう!このアルバムを制作するとき、僕らは個人としてだけでなく、バンドとしての個性を曲に込めたかったんだ。そして、まさにそれは達成したと思う。実際に、アルバムの中では少なくとも一曲は各メンバーがリードボーカルを務めているしね。最初にJonnyとLPのレコーディングについて話していたとき、彼は「君たちらしいレコードを作ろう」と、自分たちらしさにこだわるように勧めてくれたおかげでもあるんだ。それこそが僕らの目標だった。

– そういった点では、アルバムのオープニングトラックでありながら、“何も変わっていない”、“いつも同じだ”、“何度も何度も” というフレーズが連呼される「Nothing’s Changed」はぴったりな気がします。

Max : そうだね。この曲はTimがメイン・ギターのフックを書いて、ある日練習に持ち込んだんだ。それをバンドで練り上げていったら、あっという間に出来上がった。この曲がアルバムのオープニング・トラックになることはすぐにわかったし、それににふさわしい曲調を作り上げているね。

– 裕福な男を題材にした皮肉ソングの「Rich Man」も、緻密に作り込まれた主張というよりかは、フィーリングに重きを置いているのでしょうか?

Eric : そうなんだ。僕たちは基本的に、誰かが曲を持ってくるか、その場でジャムって、そのジャムの中から1曲を作り上げるんだ。より勢いや衝動性を大事にしたいし、その方が自分たちにとって自然なやり方なんだ。

– あなたたちは、さまざまなカルチャーや人が存在するニューヨークを拠点に活動していますが、バンドの活動にとってニューヨークは重要ですか?

Max : 初期の頃は、正直、練習場所を見つけるのさえ大変だった。昔の練習場の多くは閉鎖されたり、バーなどに再利用されたりしていたんだ。 そういう問題に何度もぶつかった。ニューヨークでバンドをやっていてよかったと思うのは、いつもショーが開催されていることかな。 だから、音楽を演奏したり、音楽に触発されたりする機会がいつもたくさんあるんだ。

– バンドの次のステップはなんでしょうか?

できるだけ早く、そして長くツアーに出たいね。

– 最後に読者へコメントをお願いします。

Watashi tachino ongaku wo kiitekurete arigatougozaimasu.



■ Biography

Maxband

Parquet Courts のドラマー Max Savage と A Beacon School の Patrick J Smith、ドラマーの Eric Read、リード・ギタリストの Tim Nelson の4人で構成されるブルックリンのバンド。
2018年、バンドでギターを弾きたいというMaxの意思のもと、Maxのコミュニティ内でメンバーが集まり結成された。結成から6年、ジャムセッションで生まれる、ありのままの姿でニューヨークのバンドらしい硬派なポストパンクから、ベッドルームポップに傾倒したギターミュージックが詰まったデビュー・アルバム『On Ice』を4/5にリリースした。スタジオでの民主主義を大事にするメンバーによる今作は、アルバムの中で少なくとも一曲は各メンバーがリードボーカルを務める。
レーベルは、オランダの Personal Trainer やスコットランドの Walt Disco、ロンドンのポストロック・グループ Ugly の作品を世に出した 〈Holm Front Records〉。今後はアルバムを記念してアメリカ・ツアーを行い、その後イギリスでもツアーを開催する。