Interview – Poppy Ajudha

現在のカルチャー発信における最重要拠点にして、最先端の音楽、アート、コミュニティーが一同に集結する場所、ロンドン。この地域一帯に根づく多様な文化を吸収し、自身のマルチ・アイデンティティを活動に落とし込むアーティスト、Poppy Ajudha。デビュー・アルバムで見せた一貫したスタンス、強力なメッセージ、そして社会問題を音楽で語る重要性に迫る。

ー自分に正直であることー

– 読者へ向けた簡単な自己紹介からお願いします。

こんにちは、Poppy Ajudhaです。ロンドンを拠点に活動しているアーティストで、ジャンルを跨いだ音楽を作っています。遠く離れた日本でも私の音楽が聴かれていることにとてもワクワクしているわ。

– セント・ルシア*1 にルーツがあり現在はイギリス在住のようですが、ご自身の文化的なバックグラウンドについて教えてください。

私の家族の半分がセント・ルシア出身で父が今もそこに住んでいるから行ける限りロンドンと行き来しているの。私の母はイギリス人なので、小さい頃からイギリスとカリブ地域それぞれの文化や価値観がミックスされてきたわ。ただ、ロンドンで育つと様々な場所から来るたくさんの人と触れるから、それにも少し影響を受けていると思うね。

*1 セント・ルシア (St. Lucia):カリブ海に位置する人口20万人弱の国。フランスの支配下からイギリスに権利が譲渡され、1979年に独立。内陸部には熱帯雨林が広がる一方で、海側には漁村や高級リゾートが多く存在する。

イギリスでは様々な活動が再開されてきたようですね。ライブやフェス開催のアナウンスもSNSで目撃しました。パンデミック以降「生」のオーディエンスの前でパフォーマンスすることはありましたか?

再びイギリス、そして海外でもパフォーマンスができるようになったのはとても嬉しいね。すでに年初からいろんな地を旅していて、ようやく生のオーディエンスを前にステージに立てて良かったわ。

パンデミックのピーク時と比べて行動範囲は少し広がりましたが、依然、家で過ごす時間は長いかと思います。インドアでは何をして過ごしていますか?

パンデミック前、後関係なく私は完全なインドア派だね。家で書き物をしたり読書したりするのが大好き。あとは新しいレシピに挑戦したりするのも好き。

– 料理はいいですね。

パンデミックの間は家での時間が多かったから、自分自身についてや活動に集中することができた。他にもソングライティングが向上したし、新しいレシピでハウスメイトたちにご馳走することもできたわ!

– Tom MischとのコラボやBLUENOTEのコンピレーションアルバムへの参加など、近年の音楽キャリアはとても素晴らしいものでした。これらの経験は今の活動にどのように影響していますか?

私はTomがやっていることは大好き。また、BLUENOTEのコンピへの参加はとても特別なものだったと思う。両方が経験できて大変光栄だわ。

ー見つけるべき思いやり、探求すべき深い理解は常に存在するー

あなたはアーティストとしてのみならず、活動家としても活発に動いていますね。また、楽曲を通してもフェミニズムやジェンダーに関する強いメッセージも発信していますね。アーティストとして、そのような問題提起をすることの重要性をどのように感じていますか?

自分に正直であること、そしてあなたを突き動かす問題について書いたり話したりすることはとても大事だと思うわ。私が社会問題について書くのはそれらを変えたい、そしてそれらの問題の認知を高めたいと思うからよ。

– なるほど。では、近頃気にかけているトピックや国際問題は何かありますか?

世界には多くの混乱があり、混乱がなかった時代は記憶にない。ウクライナだけでなくコンゴやイエメン、パレスチナなど、さまざまな場所で人道的危機が起きている。やるべきこと、見つけるべき思いやり、探求すべき深い理解は常に存在するわ。私たちはいつでも、他者のために戦うだけの配慮を求めなければならない。

ファッションについてお聞きします。赤や黒、白の服を着ていることが多いように見えますが、それには何か理由があるのでしょうか?

それらの色はアルバムを最もよく表していて、映像やアートワークを通して使っているテーマでもあるわ。

– ここからは今回のアルバムについての質問です。初めに今回の作品のコンセプトを教えてください。

このアルバムのコンセプトは、私たち全員に影響を与える問題において一体感や共通点を見出すこと。「私たちはみんな、何かに直面している」そのことが分かれば、少しだけ孤独を感じにくくなる。そんなことを歌っているの。このアルバムが人々に力を与え、深く考えさせ、みんなを一つにできることを願っているわ。

今回のアルバムには素晴らしいアーティストが多数参加されていましたね!

たくさんの素晴らしい人たちと共にアルバムを作ったわ。

– 彼らとはどのような経緯で一緒に制作することになったのですか?

多くがロンドンの友達、もしくはLAで出会って仲良くなった人たちよ。このアルバム制作はとても特別なものだったから早くみんなにシェアしたいわ。

アルバム制作において最も困難だったことは何でしたか?

作ること自体は簡単だった。アルバムを完成させるプロセスが難しかったね。パンデミックによってスタジオが閉まっていたから。私の全てを注ぎ込んだ作品だから、ようやくリリースできてとても楽しみだわ!しかもリリース日の4月22日は私の誕生日なの!

– 誕生日だとは!めでたい話ですね!(笑)

ー音楽は強制されて書くものではない、
自分がその重要性を信じているからこそ、書かずにはいられなくなるものー

– 過去の作品ではジャズやレア・グルーヴの影響を強く感じました。一方で『The Power In Us』はジャンルに多様性が見られました。

私は本当にたくさんの音楽やスタイルに影響を受けているから、自分ではジャズという括りに自分の音楽を当てはめたことは無いの。だから今回のアルバムは今までに無いくらい「自分」を表していると思うわ。曲は歌詞の内容も反映しているの。

– 「PLAYGOD」ではヘヴィーなギターリフ、「Mothers Sisters Girlfriends」ではラテン・ポップの空気を落とし込み、「Land Of The Free」はインド音楽の土着的なイメージやスタイルを拡張していました。これまでに音楽的アプローチを変えるという考えはあったのでしょうか?

「PLAYGOD」にディストーションのかかったヘヴィーなギターと疾走するようなドラムがあるのは、私が女性の権利や不平等な世界に対してとても憤っていたから。「Land Of The Free」は、私とプロデューサーが共にインドの血を引いていて、私はカリブ海地域にルーツがあるので、植民地時代のことを参考にしてその要素をトラックに取り入れたかったの。それぞれの曲のインスピレーションは作っている時々に受けたものが多い。クリエイティビティの赴くままについて行き、歌詞が描く物語に沿っていったわ。

アルバム制作において影響与えたアーティストはどなたかいますか?

一人のアーティストに影響を受けたとは言えないね。本当にたくさんのアーティストに夢中だけど、特定の誰かから直接的に影響を受けないようにしているわ。“ベストな曲”とは他の何にも似ていない曲だと思う。

まだ取り上げたことがないテーマで今後音楽の中で扱ってみたいと思うものはありますか?

私はその時に考えていることを都度音楽にするの。音楽は忠実で意味のあるものでないといけないと思うわ。強制されて書くものではないと思うの。もし強制されたものであったら真実を語ることはできない。ただ書けばいいというものでもなく、自分がその重要性を信じているからこそ、書かずにはいられなくなるのよ。

他のインタビューで人前でのパフォーマンスは怖いもだけど自分自身を強くするものだとお話しされていましたね。

パフォーマンスすることは大好きよ。ライブ前の数時間は結構緊張するけど、いざステージに立つという時はとても落ち着いているわ。ライブみたいな機会でも無い限りあれほど準備することはないし、準備を要する場面、そして本番に直面したときは自分が辿ってきたプロセスを信じて、あとは身を任せるだけ。

– パフォーマンスに関連してですが、The Faceでのインタビューで、現在は9人の女性とともにステージに立っているとお話しされていましたね。

昨年から新しいバンドを結成したの。ロンドンにいる最高レベルの女性ミュージシャンを探し回ってたくさんオーディションしたわ。女性と演奏することは私にとって重要かつ特別なことで、前のようなスタイル(=男性メンバーも含むバンド)にはもう戻れないかもしれない。

今後の目標や予定について教えてください。

今年のLA滞在期間中にすでに2枚目のアルバムの曲の大半を書き終えたの。早くみんなにシェアしたいわ!これからたくさん新しい作品がやってくるわよ!

最後に、日本の読者へ向けてメッセージをお願いします!

日本の皆さん、ここまで応援してくれて本当にありがとう!とても嬉しいです。早く日本で演奏したいわ!今までずっと日本に行きたいと思っていたし、ライブができたら最高だね。告知があった際は見逃さないようにね!


■Release Information

ARTIST:Poppy Ajudha

TITLE:『The Power In Us』

RELEASE DATE:2022. 4. 22

LABEL:Virgin Music Label & Artist Services


■Biography

Poppy Ajudha

サウス・ロンドンを拠点に活動するアーティスト。セントルシアとイギリスにルーツを持ち、父親の影響で幼少期よりジャズをはじめ様々な音楽に触れて育った。10代より楽曲制作をはじめ、才能を開花。2018年にはTom Mischの楽曲「Disco Yes」にフィーチャリング参加し注目を集めた。2020年にはJAZZの名門「BLUENOTE」の名曲をUKジャズシーンで活躍するミュージシャン達がカバーしたコンピレーション・アルバム『ブルーノート・リイマジンド』に参加。彼女がつくりだす、ソウル、R&B、ジャズ、ポップを融合させた先進的で社会的・政治的意識の高いユニークな音楽は各所で高い評価を獲得しており、Barack Obama、Anderson Paak.、Naomi Campbellなどの著名人からも称賛されている。2022年4月には、待望のデビュー・アルバム『The Power In Us』がリリースされる。