Focus Vol. 1
これまで、サイトではアルバム・EPのレビューを作品毎に一つの記事として上げてきましたが、新たに小コメント形式でレビューを上げる企画「Focus」を始動致します。ここでご紹介する曲はマンスリープレイリスト「Fresh」で聴くことができます。記事の最後にリンクがあるので是非チェックしてみて下さい。
早速ですがVol. 1となる今回は、8月にリリースされた作品の中で良かったものをライター3人が3曲ずつ選びご紹介します。
<RYODO’s Select>
① HighSchool – Sirens
メルボルンのポストパンクバンド、HighSchool。Crystal Castlesのジャケ写に使われてそうな質感のMVから分かるように、曲はとにかくダークで初期のBeach Fossilsのような暗さが感じられる。また、The Cureの光と影の絶妙なバランス感覚も持ち合わせており、新たな才能がオーストラリアから出てきたなと、ワクワクが止まらない。この曲だけでなく、是非全曲チェックしていただきたい。
② Bingo Fury – Happy Snake
ブリストル出身、元Norman、TropicのJack OgborneによるソロプロジェクトであるBingo Fury。全世界から熱狂的な支持を得るKing Kruleのジャジーなエッセンスや近年のcaroline、Black Country, New Roadのポストロック、Sinead O’Brien、Dry Cleaningのスポークンワーズを飲み込んだ大型新人の記念すべき2ndシングル。早速So Young Magazineにも取り上げられており、また、YouTubeに載っているWindmillでのライブは圧巻。注目しておいて間違いないだろう。
③ xiexie – what you see
日本のインディーポップバンド、xiexie。最新曲の “what you see” は、10年代を彩ったUSインディーポップの系譜を辿る、まさに夏にふさわしい1曲(もう夏は終わってしまうが…)。それもあってか、プールサイドで撮影されたMVはMinksの “Margot” を想起させる。日本語詞ながら海外でも十分通用しそうなクオリティの楽曲は、まさにこんなバンドを待っていたという思いにさせてくれる。ちなみに、xiexieという名前は中国語の「謝謝」からきているだとか。
<HAYATA’s Select>
① Shelter Boy – I Stand with You
ドイツを拠点とするSSW。シングルやEPをリリースし始めた3年前はドイツのMac Demarcoとも称されたLo-FiやサーフロックなサウンドはUSインディーにも通じ、最近ではboy pabloとのコラボでも話題になる。そんな彼のニューシングルはファンクをより意識したものであり、マッドチェスターを意識したシングル”Atmosphere”に続き彼の進化が分かる。2021 9月10日にデビューアルバム「Failure Familiar」をリリース。
② PACKS – Drink Rain (Iceage Cover)
どこか冷たく、それでいてエネルギー溢れるカナダ拠点のインディーバンドPACKS。才能溢れ、多彩なサウンドを持つバンドが増えてきている最近のインディーシーンで個人的について行くのに必死になり疲れることもあるが、PACKSを聴いているときはいつもホームだと思わせてくれる。そんな彼らがもちろんポジティブな意味でさらに冷え切ったバージョンでIceageの楽曲”Drink Rain”をカヴァーした。
③ Parquet Courts – Walking at a Downtown Pace
NY出身のガレージパンクバンドParquet Courts。勢いに溢れ、身構えたり知識を必要とすることを鼻で笑うかのようなサウンドで魅了してきた彼らのニューシングルはまさに“踊れるマッドチェスター”。もちろん「カッコ良い」だけでも十分であり、知識は必要ないと言いつつも、Primal ScreamやThe Stone Rosesを知っている方がいたらさらに楽しめる一曲。
<KAJI’s Select>
① Palace – Gravity (Sg)
UK/ロンドンを拠点に活動する4人組アートロックバンド、およそ1年ぶりとなる新曲。来年にリリース予定のニューアルバムからの先行カットとのこと。今までのスケールの大きさはそのままに、The FoalsやArcade Fireから初期Coldplayを彷彿とさせる幻想的な音の空間に一瞬で飲まれる一曲。アルバムにも期待。
② Good Morning – Country
オーストラリア/メルボルン発のインディーロックデュオGood Morning。デビューアルバム「Shawcross」に収録の”Warned You”はSpotifyで5000万回以上再生されるほどの人気を誇る二人だが、今作は今までのローファイなムードから少し離れ、ウェスタンな香り漂うカントリーロックに転向。10月にリリースされる新作「Barnyard」のリードシングルであるこの曲は、ドライなギターに「ピコピコ」電子音をレイヤー。相容れないように思える二つのサウンドが不思議なくらいにマッチしてスッと耳に馴染む。素晴らしい。
③ Pynch – Karaoke
現在のUKシーン最重要人物となったDan Carey (Franz FerdinandやFontaines D.C.をプロデュース)が立ち上げたレーベル、<Speedy Wunderground>。そこが企画する7インチシリーズでシングル”Disco Lights”をリリースし勢いに乗るロンドンのオルタナポップバンドPynchの新曲。タイトルはズバリ「カラオケ」。潔さも良いが、それ以上に楽曲の痛快さがたまらない。電子ビートのライトなポップ感。浸潤なボーカル。官能的なベースラインに思わず踊り出してしまいたくなる。なんか懐かしいような未来的なような、絶妙なポイントを射るセンスに惚れる。
以上、全9曲を紹介しました。今後もORM Focusでは「Fresh」収録のものをベースにアーティストや楽曲を紹介していきますので皆さん引き続きチェックをよろしくお願いします。
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