Interview – CLAMM

鋭利なサウンド、硬派なスタンス。メルボルンのDIYシーンから登場した次世代パンクトリオCLAMM。USインディーの面影を残しながらも、オージーパンクのDNAを色濃く今に残す、渾身のデビューアルバムについて聞いた。

ーこれからどうしよう…ー

– バンドがどのようにして始まったか教えてください。

Milesと僕(Jack)は当時別のバンドで一緒に演奏していて、そこから間もなくただ楽しいという理由でよりうるさくて重い音楽を演奏するようになったんだ。それの音楽っていうのは当時他のバンドではやることができなかったものだった。やがて今やっている音楽のサウンドにつながったね。

– ベースのMaisieとはどのようにして出会ったのですか?

僕らにはもともとScottyと言う別のベースプレイヤーがいたんだけど残念ながら彼はバンドを辞めてしまって…。「これからどうしようか」と項垂れていた。誰が次にベースを弾けるか全く考えられなかったからね。そんな時、The Bel Air Lip Bombsっていうバンドに出会ったんだ。Maisieはそのバンドにいた。彼らと出会ったのとほぼ同時期にThe Bass Drum of Deathからライブのオファーがあって、僕らはMaisieに一緒に演奏してくれないかと聞いたら引き受けてくれた。彼女はめちゃくちゃ才能に溢れていて、確か青の時は2、3回のくらいの練習で僕らの曲を覚えていたよ。以降彼女と一緒に演奏ができて最高だね。

あなたたちはメルボルンのバンドですね。でもレーベルのMeat Machineはイギリス拠点。どのようにして今のレーベルに所属することになったのですか?

それが、はっきりとはわからないんだよね。最初に僕らが音源を出した時は、海外ではほとんど再生されなかった。でもおそらく誰かがMeat MachineのRichに僕らの音楽を紹介してくれて、幸運なことに彼はそれを気に入ってくれた。その後彼から「君たちの音楽が気に入った。何かリリースの予定はあるか?」っていうメッセージをもらった。この一連の出来事は全てコロナ禍で起きて、僕らも全く予想していなかったことだったね。レーベルとはZoomでミーティングしてるよ。早く対面で会えたらいいな。

ーTy SegallやWhite Fenceをたくさんー

君たちの音楽は大体がスピーディーなパンクとローファイ・ガレージといった感じですね。私が初めて聴いた時はUSインディー、特にTy SegallやWavvesなどの西海岸のバンドを思い出しました。何か音楽的に影響したバンドやアーティストはいますか?

そうだね、なかなかいい線をいってるね。なぜなら君があげてくれた音楽っていうのは僕らが聴いて育ったものだからね。Ty Segall、White Fence、Thee Oh Sees、Dogs、Ex-Cult…。僕らはよくこんな感じのを聴いてきたもんだから、その音楽的要素、特徴が僕らのソングライティングや演奏する音楽に表れているんだと思うよ。

デビューアルバム「Beseech Me」のコンセプトについて教えてください。アルバムを作る上でキーとなった要素は何でしょうか?

「Beseech Me」は素早く製作されたアルバムだったね。デモを録り終えた直後、僕らはそれをいち早くきちんとした形でレコーディングしたいと考えていた。デモに変更を加えるかの熟考の時間はそれほど取らなかったという点で、このアルバムはある意味生々しさがあると思う。全ては「ありのまま」に残されていて精製されていない。

激しさの伴うアルバムで、メンタルヘルス(コロナ禍で特に大きな問題にもなっているけど)、暴力反対、物質主義(唯物論)等を取り上げている。あらゆるテーマを同時進行の形で取り上げた、いわば「ごちゃ混ぜ」なアルバムだね。

近年、メルボルンの音楽シーンではエキサイティングな事がたくさん起きています。何かローカルのバンドやアーティストで聴いているものはありますか?

僕らはメルボルンでの生活が大好きだね。ここの音楽シーンは素晴らしいし、そのことをとても幸運なことだと思っているよ。Civicは最近アルバムを出したね。早く彼らのライブが観たいな。僕は最近EXEKをよく聴いているね。あとはAntifade RecordsのバンドとJohn Dwyer。メルボルンのバンドは大好きだし、ライブも(メルボルンでは)よくやるから早く今までみたいに演奏したり他のバンドを観たりしたいね。

オーストラリアは比較的に日本に近いですね。私たちの国に対して何か持っているイメージはありますか?何か日本文化で好きなもの、興味のあるものがあれば教えて下さい。

実は僕、日本に2回行ったことがあって、ぞれぞれ1ヶ月ほど滞在したんだ。最高だったよ!日本は間違いなく僕が世界で最も好きな場所の一つだね。日本はとにかく文化的に豊かだよね。オーストラリアにはそれほど深い文化や歴史がないから少し悲しいな。(前にいった時は)東京や都市部で大半の時間を過ごしたな。ある時友達一緒に、四国の祖谷渓(いやだに)に行ったことがあって、それが素晴らしかった。真冬に凍える寒さの中行って、伝統的な旅館に泊まった。日本は僕がもう一度行きたい場所の一つだし、もし日本で演奏する機会があったらとても嬉しいね!

ー全てが『大きく停止』した感じだったー

オーストラリアはパンデミックにおいて厳しい対応を取っていると聞きました。このことはバンド活動に影響しましたか?

間違いなく影響したね。何かのニュースで、日本は僕ら(の国)とは少し違った対応を取っているって読んだけど、ここオーストラリアでは厳しいルールが設けられて、人々早々にロックダウンを強いられた。これによってバンドメンバーとは会えず、全てが「大きく停止」した感じだったね。僕らにできることはほとんど何も無かった。ネット上でセッションする気にもなれなかったし。音楽をすることへのモチベーションもあまり無く、全てがどうも暗くて悲しい感じだね。

今年の予定は何かありますか?

メルボルンとシドニー、ブリスベン、でのライブが予定されてるね。もしかすると他の都市でもするかも。あとは、新しいアルバムを完成させたいなと考えているところ。うん、そうだな、今のところ決まっているのはこれくらいかな。

最後に、日本の方へ向けてメッセージをお願いします。

日本にいるみんなが元気でいてくれることを願っているよ。今は大変な時期だけど応援しています。僕らは日本の文化、食べ物、人が大好き。日本に行くのを心待ちにしているし、演奏する機会があればとても嬉しいな。あと、新しいアルバムも気に入ってくれたら嬉しいな。近い将来会えると期待してます!


■ Release Information

CLAMM – Beseech Me

Release:2021. 4. 9

Label:Meat Machine, Tin Angel Records


Biography

CLAMM

メルボルン発のパンクトリオ。70sオリジナルパンクのDNAを受け継ぎ、突き刺すような攻めた楽曲が特徴。Chubby & The GangやAmy & The Sniffersに匹敵しうる攻撃的な展開と、一切の妥協を許さない反抗的な姿勢がバンドの空気から滲み出る。待望のデビューアルバムはCrack CloudやN0V3L擁するカナダのレーベル、Meat Machine / Tin Angel Recordsからリリース。