ロンドンと東京を拠点に、実験的な芸術を通じた「交換・交流」のためのアートプラットフォームとして様々な企画を展開する〈MODE〉。6月26日から7月5日まで、高円寺のtata bookshop / galleryにて、ロンドンのアーティスト Daniel Blumbergによる日本初個展「Palm Of The Hand Drawings」を開催することが決定した。

Blumbergは、ドローイング、ソングライティング、即興演奏など、サウンドを横断しながら活動するアーティスト/作曲家で、複数のソロアルバムをリリースしているが、2025年には映画『The Brutalist』の劇伴を担当し、その年のアカデミー賞作曲賞を受賞した。
今回の個展は、音楽家としての活動と並行して彼が行なっている視覚芸術にフォーカスを当てたもので、作家自身がロンドンから携行した小型の銀製フォトケースに収められたドローイング群の展示が予定されている。

19世紀以降、銀製フォトケースは家族や恋人の肖像写真を身近に携えるための容器として広く用いられてきたが、Blumbergはその内部にドローイングを収めることで、個人的な記憶を保存するための親密な器を、より開かれた想像力のための場へと変容させている。

展覧会タイトルは川端康成の『掌の小説』(英題:Palm Of The Hand Stories)に着想を得ており、また、Robert Walserの『Microscripts』も重要な参照点となっている。両作品はいずれも小さな形式の中に広大な時間や空間、そして想像力を立ち上げる表現だ。
Blumbergの作品は、鉛筆が普及する以前から用いられていた描画技法である銀筆(シルバーポイント)によって制作されている。銀筆による線は、空気や湿度など周囲の環境に反応しながらゆっくりと酸化し、時間とともに変化を続ける。ブランバーグはこの技法を通して、ドローイングを完成された結果ではなく、時間の経過を記録し続ける持続的なプロセスとして捉えている。

6月29日には、草月ホールにて開催される「Keiji Haino & Daniel Blumberg / Ellen Arkbro & Reigakusha Gagaku Ensemble」への出演も決まっており、2026年ヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門において金獅子功労賞を受賞した灰野敬二とのコラボレーションが予定されている。こちらも見逃せない。 


「Palm Of The Hand Drawings」


Daniel Blumberg