デザイナー末安弘明による〈KIDILL〉が、パリ・ファッションウィーク・メンズにて2024 AWコレクション 『WHATEVER HAPPENED TO PUNK!』を発表。

2023年8月に逝去した英国人アーティストでありSex Pistolsの名高いジャケットやロゴのデザイナーとして知られるJamie Reidから影響を受け、 2020 年秋冬コレクションのコラボレーション以降も親交が続いた末安弘明。「Jamieは、自分の原点そのものだった」と語るデザイナーによる今シーズンのコレクションは、パンクが持つ本質への原点回帰に焦点を当てられ、デザイン、シルエット、ディテールエッセンスにみられる初期パンクのクラシシズムと現代性の交わりにまつわる探求に満ちている。

日本の職人によるジャカード織りが映えるコレクションは、過剰なデストロイ加工の数々、ミリタリーウェアを再解釈し、〈Raf Simons〉が2001年 AWコレクションで採用したMA-1のボディとしても知られる〈FOSTEXGARMENTS〉製のMA-1の復刻、引き裂かれたデニム、ヴィンテージウォッシュ加工で洗いざらしのカットソーなどで “パンク”に讃歌を送った。

ー 存在し続けると信じていたものの喪失は、空虚に似ていた。他人ではあったが、まるで自分でもあったからだ。しかし、ジェイミーをはじめ、初期のパンクを創造した偉大な人たちが去ったとしても、現代、あるいは現代人に様々な影響をもたらしたパンクの本質を終わらせないことが役目である。私は私らしいやり方で哀悼の意をこめたい。それは、『彼らは永遠である』という宣言でもある ー 末安弘明

時に完結したスタイルは、イコノグラフィーの対象となり、月日の中で複製され、消費され、形骸化していく危険性をはらむのだと末安は言う。一方で彼は、様式化された美が時代の趨勢のなかで多様なものを吸収し、現在に還元されながら未来に息づくものであると確信している。単純な破壊や否定ではない同時代を生きるものたちが “パンク”をリブートし続ける、ポジティブなエネルギーこそが 2024 年秋冬コレクションの最大のテーマである。

直裁的な〈KIDILL〉のメッセージは半世紀の年月が経つパンクの歴史、その不変のアイデンティティと態度は、もはや特定の人々のためのものではないという事実にある。パンクは、外見から解釈される偏狭さからとうに逸脱し、今を生きる多くの人々に自分なりの抗議(反抗)の精神として継承され、モダンでインディペンデントなカルチャーの進化を後押しし、個々の自由や表現を尊重する価値観となって人それぞれと結びついている。今、その原点に末安が回帰することとは〈KIDILL〉にとって再生と更新を意味する。

ー結局、初期衝動と抗う力は変わらない。私はシンプルなのですー 末安弘明


■ Information

〈KIDILL〉24AW Collection

Show Director : Michio Hoshina *PLANKTON / Stylist : Tatsuya Shimada
Show Music : CycheoutsG
Hair Stylist : Kunio Kohzaki
Make-up Artist : Kanako Yoshida *lga Management / Casting : Taka Arakawa, Jose Maria *ALTER / Production : Devi Sok
Collection Photos : Ko Tsuchiya
Backstage Photos : Kyohei Hattori, Flo Kohl
Show Coordinator : Azusa Nozaki
Writer : Tatsuya Yamaguchi /
Artwork : Jamie Reid, Tom Tosseyn, maya Shibasaki, ohiana
Collaboration : Dickies, Fostex Garments, HIZUME, Malcolm Guerre, rurumu
International Press : Totem fashion
Japan Press : Sakas PR
Support : John Marchant Gallery, Dr. Martens, Instant Icon
Movie Director : Minori Murata
Movie Music : CycheoutsG
KIDILL Designer : Hiroaki Sueyasu