〈LEMAIRE〉がパリファッションウィークにて2027SSコレクションを発表した。

今シーズンの〈LEMAIRE〉が描き出すのは、折衷的な事物が息づく世界。そこには新たな理想主義と、純粋な好奇心に導かれた、自由で親密なスタイルへのアプローチが息づいている。マットと光沢、東洋と西洋の影響を響き合わた構築性と流動性。この遊び心のあるコントラストが、今シーズンのウィメンズウェアとメンズウェアを貫く共通のコードだ。

メンズウェアにおける二面性は、緻密な素材感とシルエットを通して表現されている。ガーメントダイを施したコットンは、時を経て酸化した銅の表面を想起させ、ラッカー加工やシルバーコーティングのデニムは、控えめな艶を添える。夏の雨に濡れて暗く沈んだ表面を思わせる、ウェットルックのチンツも印象的だ。

全体を通してメンズウェアは、トロピカルなワードローブを提案。パームリーフ、きらめく海、移ろう空を描いたプリントは、熱帯の鮮やかな生命力を想起させ、スモーキーなブラウン、ウォルナット、チョーク、サンド、そして海を思わせるブルーの色調がコレクションを支えられている。サルトリアルな要素は、浴衣から着想を得たラップシャツや、軽やかなレザーで再解釈されたマンダリンジャケットとともに構成された。レインコートはショーツと合わせてスタイリングされ、裏地のないワークウェアに着想を得たクリスプなコットンのピースは、暑さ、動き、そして心地よさのためにデザインが施された。ナイロン、コットンヴォイル、コットンメッシュによってもたらされる透明感は、軽やかさと通気性の感覚を高めている。

ウィメンズコレクションは、1970年代の開放感とロマンティシズムを色濃く映し出す。
グリーン、鮮やかなレッド、オックスブラッドといった自然界と呼応する有機的なカラーパレットをベースに、サイケデリックなモチーフや、ラッカー仕上げの樹皮のようなウッドモチーフがデニムにプリントされ、シルエットに跃動感を与えている。さらに、クリスプなポプリンやリネン、流れるようなヴィスコースやシルクジャカードといったテクスチャーの対比に加え、今季はジャージーとニットウェアの新たなアプローチによって、身体のラインがセンシュアルにあらわに。サマードレスにはさりげなくスポーツウェアの要素がブレンドされ、現代的なシティウェアへと昇華されている。

そして、コレクションに最も官能的で夢幻的な次元をもたらしているのが、フランス人アーティスト、Claudine Wickとのコラボレーションだ。身体、鳥、花、手を描いた彼女の絵画は、ピンクとブラックの柔らかなグラデーションで表現され、透明なメッシュジャージーのプリントとして再解釈された。それはまるで「第二の肌」のようにモデルの身体の輪郭をなぞり、フェミニニティと欲望をめぐる探求の象徴として現れる。

さらに、〈LEMAIRE〉らしい洗練された「ユーモア」と「実用性」は、ジュエリーやバッグといったアクセサリーのディテールに宿る。 松かさをモチーフにした精巧なイヤリングや、もともと葉巻の灰を押さえるためにデザインされた重みのあるシルバーのオブジェは、装飾的なペンダントへと姿を変えた。重ねて持つことを想定してデザインされた軽やかなバッグや、ガーメントの内側に隠された鮮やかなライニングの色彩など、身につける人の「私的な所作」の中に、驚きと喜びの瞬間を仕込んでいる。

服を単なる衣服としてではなく、社会や文化、そして人間の内面を読み解くための「レンズ」として捉える〈LEMAIRE〉。彼らの静かなるイノベーションは、この2027SSでも、ワードローブに新しい自由をもたらしてくれそうだ。


■ COLLECTION

LEMAIRE – 2027SS

PHOTO CREDITS:COURTESY OF LEMAIRE