〈VEIN〉が24AWコレクション『ave』を発表

〈VEIN〉が24AWコレクション『ave』を発表した。〈VEIN〉は〈ATTACHMENT〉から生まれたメンズブランド。ものづくりの根底に建築家・ジャンプルーヴェへの敬意を持つ。「建築家のオフィスの所在地が部材製造工場以外の場所にあることは考えられない」 というプルーヴェの考え方に倣い、自身をデザイナーではなく企画者として捉え、 工場との念密なディスカッションのもとでものづくりを行っている。

コレクションテーマのaveはラテン語で「歓迎」や「敬意」をあらわし、平易な挨拶を意味する。人と人が互いを認識し、交流をはじめるときのきっかけである“挨拶”はごく平凡な行為でも、 人生の中で無数に繰り返され、小さなコミュニティから文化圏までのそれぞれの特性を表象さえするのでは。そう思案したデザイナー榎本光希は、2024年秋冬コレクションでブランドやコレクション、ひいては一着の衣服と、着る人との関係を構造的に見つめ直しながら、そのうちに育まれうる未来志向で人肌を感じられる関係性を眺めた。

「いわば自分の第二の家 のような場所であるアトリエにゲストが訪ねてきて、まるで、会話がはじまる最初の挨拶となるようなショーをやってみたかった。程よい距離感を感じながら、コミュニケーションの過程で服が息づき、思いがけないものに遭遇したいのです」。このように語るデザイナーにとって“ave”は、服作りの現場 であるアトリエに併設されたショールームを開放してゲストを招き入れるショー、そしてコレクションが内包するステイトメントに結びつくダイレクトな言葉であった。

さらに、「挨拶を終えた後の予想外の会話のように、ランウェイから離れた洋服がど のように着られるかは、常に着るひとに委ねていたい」と〈VEIN〉の中枢をなす考えのもと、着用者の意思でシルエットチェンジできるドローストリングスの構造をもつカットソーや フーディ、ニットウェア、大きなトラウザーズをウエストを基点に折り畳んで再構成したワイドフレアな質量感が特徴のリサイズシリーズ、マチ付きのビッグポケットとストラップで大胆に構築された「ラップスカートバッグ」は可変性を示すブランドのシンボルとなった。

表層的な外見でなく衣服の構造や組成をデザインすることで、新鮮な表現の振幅を獲得す ることを願った匿名的なアウトフィットとして、ストラップが身ごろを横断するジャケットや、スタンドカラーにもなるマキシコートがある一方、視覚的に重心が低く捉えられるさまが、膝下に 一文字にカットオフされたバギージーンズ、カーゴパンツやMA-1のポケットの配置、トレンチ コートを解体したかのような「ロウアースカート」によってもたらされた。

また、自身の嗜好性の根源を伝達するパーソナルなモチーフのひとつとして、1990年代のサッカーユニフォームやミリタリーエッセンスが直接的に加わり、モノトーンから、ドーンピンク、オーセンティックなデニム・ブ ルーまでカラーパレットを往来しながら、規律に基づきながらフリーキーな着方が共存した25のルックは、楽観的かつ立体的に表現される。

「これは、ブランド、デザイン、クリエイターとの協業、そして ファッションショーを介した、ごく小規模なコミュニティのあり方と親密さに関する実験でもある のかもしれません」ー 榎本光希


■ Information

〈VEIN〉24AW Collection

『ave』

Designer:Koki Enomoto
Stylist:Hayato Takada
Art Director:Tatsuya Yamaguchi
Hair Artist:Mikio Aizawa
Make-up Artist:Suzuki
Show Music:Sakura Tsuruta
Movie:Genki Nishikawa at mild inc.
Show Director:Michio Hoshina at PLANKTON Assistant Director:Homare Hatayama / Masayuki Moriyama
Lighting Planner:Ryo Kawamura at art brain company
Sound Planner:Hiroki Yoshimi art brain company Runway Photo:Koji shimamura
PR:Keitaro Nagasaka at Sakas PR