京都を拠点に活動するチェリストの中川裕貴が、デビューソロアルバム『Stills and Remains』を、〈Unheard of Hope〉から6月12日にリリースすることが決定した。

中川裕貴はチェロを独学で学び、独自の作曲と演奏活動を続けてきた。日野浩志郎とのKAKUHANでの活動でも知られ、通常に想像される演奏方法とは異なるアプローチによってチェロの可能性を探求し続けている。

本作は、「すべての音を、たった一台のチェロのみから生成する」という極めて純度の高いコンセプトのもとに構築。エフェクトペダルによる音の拡張や増幅はあるものの、他の楽器や環境音は一切排除され、そこに残されているのは、身体と楽器の間で執拗に交わされる対話であり、パフォーマンスという純粋な行為そのものである。そして、人間の声に最も近い弦楽器と称されるがチェロを改めて「声を発する装置」として捉え直す試みを本作で行なっている。

そこから立ち現れる音響のランドスケープには、一切の制限を感じさせない。パーカッシブな打音のレイヤー、自作の弓から生み出される微細なノイズ、そしてどこまでも持続するドローン。それらのテクスチャーが幾重にも重なり合い、聴く者を深く没入させる複雑で濃密な空間を展開している。

単なる「楽器の演奏」を超え、音をひとつの「声」へと昇華させた、実験的でありながらも肉体的な強さを放つ本作。その深淵な音響世界を、ぜひ体験してほしい。