Interview – bdrmm
ファースト・アルバム『BEDROOM』の成功を経て、最新シングル「Port」ではよりダークでインダストリアルなアプローチに踏み切ったイギリスはハルの4人組、bdrmm(ベッドルーム)。彼らのこれまでの活動と今後の展望を掘り下げる。
(※今回のインタビューはバンドの中心メンバーであるRyan、Jordan Smith兄弟に回答していただきました。)
English version of the interview available from here.
ー自分たちが好きだと思える作品を生み出せたことは誇りに思うー
– –どのように出会い、バンドを始めることになったか教えてください。
Jordan:そうだね、僕とRyanに関しては生まれる前からお腹の中で一緒だったからね、お互いに自然な相性の良さがあるんだ。Joeは僕が14歳の頃から人生を共にしてきて、似たような精神性を共有していると思う。Conorは最近バンドに加わった最も美しい人物で、彼の足はクルミを砕くことができる(笑)(実際に見たことがあるから分かるんだ)。僕たちは皆、火のついた家のように熱いくらい仲が良く、時に破壊的な一面もあるけど、比較的暖かくて愛らしさがあると思うな。
– –今所属されているSonic Cathedralとはどのような経緯でサインすることになったのでしょうか?
Ryan:僕たちはロンドンでライブをしていて、レーベルのNatが見にきてくれていることを耳にしたんだ。とても驚いたよ。だって彼が過去に仕事をしてきたアーティストたちのことは僕たちも知っていたし、尊敬していたからね。ライブが終わった後、荷物を片づけながら彼(=Nat)と簡単な挨拶をして、たしかその日はそれで終わったんだ。数週間経ったある日。その日は二日酔いがひどかったんだけど、僕らのマネージャーのRyanが、Natから連絡があって、7インチでの音源リリースのオファーを受けたことを知らせてくれたんだ。二日酔いはすぐに消えたね。
– –あの偉大な(RIDEの)Andy Bellも同レーベルに所属されていますね!彼と会ったりはしましたか?
Jordan:Andyとは何回か会っていて、君たちが想像する通りの素晴らしい人でとても優しいね。前回会った時には、彼が持っていた最後のドリンクチケットで僕にサンブーカ(お酒)を奢ってくれたな。ね!優しいでしょ!
– –2020年はバンドにとって飛躍の一年だったことでしょう。デビューアルバム『BEDROOM』はRough Tradeの年間ベストに選出され、メディア各所でも高評価を獲得しましたね。ここまでの成功についてどのように感じていますか?
Ryan:本当に信じられないね。今でもしっくりきてないくらい。自分たちは謙虚な姿勢をとっているつもりだったから、レコードをリリースした時はそれほどの反響を得るなんて考えていなくて。単純に自分たちが好きだと思える作品を生み出せたことは本当に誇りに思うね。リリース後に起きた全てことはとてもありがたいものだったし、こんな貴重な経験をさせてもらったすべての人に感謝しているよ。
ーライブから得られるエネルギーってのは他とは全く違う感覚ー
– –バンドからはSlowdiveやLushからDIIVのような最近のバンドまでと似た空気を感じます。音楽制作にあたって影響を受けたアーティストはいますか?また制作において意識していることなどがあれば教えてください。
Jordan:あらぁ、それは嬉しいね。こんな(光栄な)比較はいつでも大歓迎だ!そうだな、僕にとってDeerhunterはレコーディングの時にいつも参考にしているバンドだね。僕とRyanは彼らがマンチェスターにあるO2 Ritzというライブハウスで演奏しているのを見たんだ。フロントマンのBradford Coxが持っている特異性みたいなものは僕に、レコーディングが冒険に富んだ楽しいものであることを教えてくれたと思う。
– –最近は生での演奏もしているみたいですね。昨年はオンラインライブをよくやっていましたが、このように生で演奏できるようになった今感じる「ライブ」の良さはどのようなものだと思いますか?
Ryan:やっぱり一番の違いは観客だよね。ライブから得られるエネルギーってのは他とは全く違う感覚だね。全てのことを洗い流してくれる、そんな感じ。いいライブだなぁって思ったときに、お客さんが僕たちに見せてくれるほほえましい表情、それが最高なんだなぁ。
ーあとはコロナが失せるのを待つだけー
– –新曲「Port」をリリースされましたね。正直な感想だと、これまでのアプローチとは大きく違っていてとても驚きました。かなり暗めな空気が漂っていて、DeafheavenやNine Inch Nailsなどのバンドが思い浮かびました。このムードは今後リリースする曲でも展開しようとしているものですか?
Jordan:そうだね、実は僕たち自身もこの変化には驚いていてね。ギターをしまってシンセサイザーにしたっていうわけではなく、違う楽器がどう聴こえるかを試してみたかっただけって感じかな。それでもTrent Reznor (Nine Inch Nails)は僕が曲を作るときに特に影響を受けた人物ではあると思う。ダークなテーマを探求することは、常に新しく興味深い音作りの方法をもたらしてくれるよね。Trentが担当したDavid Fincher映画の音楽なんかは、僕が最初のアルバムで作っていた質感の多くを、新しいトラックでより複雑で思慮深いサウンドスケープに再度コンテキスト化する上でとても役に立ったね。2022年はbdrmmのインダストリアルなアルバムに期待していてね。
– –イギリスにおけるコロナの状況はどんなものですか?
Ryan:まぁ、今はすべてが宙に浮いた感じかな。明らかに、この変異株がまたみんなを心配させているけど、何も起こらないことを祈っているよ。僕はまた新鮮(っぽい)空気を楽しんでいるよ。
– –バンドはハルという街の出身ですね。ロンドンからは少し離れた場所にあると聞きました。ぜひハルがどんな街なのか教えてください。
Jordan:ハルは僕たちにとっては心の拠り所みたいな場所だね。ふざけ合ったり、自分たちのサウンドが実際にはどのようなものなのかを考え直すことは、バンド発展の重要な部分を担っていて、だけどそういうことって「当たり前にできること」と思ってしまっていると思うんだよね。Paul Jacksonが運営しているThe New Adelphi Clubはハルの音楽コミュニティーを基礎を築いた場所だね。僕たちもそこで活動を始めさせてもらって、今でも戻れる時はすぐに駆けつけているよ。似たようなもので、Mark Pageという人物が携わっている「Humber Street Sesh」というイベントは、ハルが音楽的に認知度を高めることにとても貢献しているね。
他にもLUMERやAutosuggestionというバンドと仲良くさせてもらっていて、どちらも最高にイケてるね。だからそうだね、街は間違いなく活気が溢れてきていると思うよ!
– –決まっているところまでの予定を教えてください。
Ryan:新しく作曲したものがたくさんできてきたから、スタジオに戻ってようやくセカンドアルバムのレコーディングに入るといったところかな。みんなとても楽しみにしているよ。あとは4月にRIDEのツアーに出るよ。ついに夢が叶ったって感じで、これまでで最大規模のステージになるね。いつか君たちのもとにも行けるといいなって思ってるよ。準備はできてる。あとはコロナが失せるのを待つだけだね。
– –最後に、日本の読者に向けてメッセージをお願いします。
Ryan:僕たちのレコード、マーチを買ってくれた人、音楽を聴いてくれた人、サポートしてくれた人、そしてここまでのことを実現させてくれた人にはみんな感謝しているよ。早く君たちのもとにいって会うのが楽しみだね。
(Special thanks to Ryan at polkadot music collective)
■ Release Information
bdrmm – Port (Working Men’s Club Remix)
Release Date:12/3/2021
Label:Sonic Cathedral
■ Biography
bdrmm
2016年、ライアン・スミスの宅録デモがラジオで紹介されたことを機に、弟ジョーダンらと共に結成された5人組バンド。メンバーは10代から30代まで幅広い年代で構成され、ライドやコクトー・ツインズ、ザ・キュアーなどに影響を受けたサウンドが特徴。数枚のシングルと6曲入りEP『If Not, When?』を経て、2020年にSonic Cathedralよりファースト・アルバム『Bedroom』をリリース。(SPACE SHOWER MUSICより)