Interview – Ex-Vöid

テン年代のイギリスに確かに存在したカーディフの5人組、Joanna Gruesome。ノイズをこれまでにない形で昇華し、強烈なイメージを残して去った。あれから6年。“ポップさ”を過激な領域に押し込み、再び幕を開けた「Ex-Vöid」という名の新たなパワー・ポップの物語。デビュー・アルバム『Bigger Than Before』のリリースに際し、バンドの中心メンバーOwen Williams (Gt. / Vo.)とAlanna McArdle (Gt. / Vo.)に話を聞いた。

ーお互いパワー・ポップが大好きだったー

– こんにちは!おそらくこれはあなたたちにインタビューする日本で最初のメディアですよね?もしかして、インタビューする全てのメディアで初ですかね。

Owen:読者の皆さんこんにちは!Ex-Vöidです!

Alanna:そうだね、初のインタビューだね!

– Ex-VöidはかつてJoanna GruesomeのメンバーであったAlanna McArdleとOwen Williams、ベースにLaurie Foster、ドラムにJonny Coddingtonという編成ですね。

Owen:そうだね、僕たちはおそらく10年くらいの付き合いかな?

Alanna:うん、10年くらい経ったと思う、今は11年かも。

Owen:Alannaと僕はJoanna Gruesomeでプレイしていて、Laurieと僕は他に複数のバンドでプレイしていたんだ。Jonnyは僕が昔やっていたバンドでレコーディングに参加していたね。

– バンドはどのような経緯で始まったのでしょうか?

Alanna:私はJoanna Gruesomeへの加入を通して当時同じ大学に通っていたLaurie、Jonnyと知り合ったわ。Joanna Gruesomeを脱退した数年後にOwenと一緒にEx-Vöidを始めたの。Ex-Vöidが始まってから1年くらいしてJoanna Gruesomeも活動が止まった。私たちは一緒に演奏することが恋しくなっていたし、お互いパワー・ポップが大好きだったのもあって、それがバンドをスタートさせる流れになったね。

Joanna Gruesome:
Owen Williams、Alanna McArdleを中心に活動していたUK/カーディフの5人組バンド。パンクとノイズを織り交ぜたサウンドから、しばしThe Pains Of Being Pure At HeartやMy Bloody Valentineが引き合いに出された。名門<Slumberland>, <Fortuna POP!>からリリースされたデビュー・アルバム『Weird Sister』は<Pitchfork>をはじめとした主要メディアで高評価を獲得し、ここ日本でも<タワレコメン>を獲得。その後、2015年に2ndアルバム『Peanut Butter』、2016年にシングル「Pretty Fucking Sick (Of It All)」をリリースしたのち活動を休止。

– Joanna GruesomeはカーディフのバンドでしたがEx-Vöidは現在ロンドンを拠点に活動していますね。活動拠点をロンドンに移した理由は何かありますか?また、カーディフとロンドンの音楽シーンの共通点・相違点について教えてください。

Owen:カーディフ出身のメンバーは僕だけなんだ。僕がまだティーンだった頃はとても健全なシーンが築かれていたと思う。けれど最近は、少し細ってしまったように感じるな。それにはコロナも影響しているかもね。とはいえ、まだかっこいいことをやっている人もいるのも事実だよ。ロンドンに移ったのはバンドメンバーや僕の友達の多くが住んでいるからというのが一番の理由だね。

ーポップソングの決まり文句を実際に使ってみるー

– 初めに、デビュー・アルバムのリリースおめでとうございます!ようやくリリースされたということで、どのように感じていますか?

Owen:全体のプロセスはかなり長引いてしまった(パンデミックであったこと、自分たちの活動ペースが遅かったこと、プレス工場が遅延していたことなどが影響して)から、ようやく人々が聴けるようになって嬉しいよ!いくつかの曲は作ったのが2017年くらいまで遡ると思う(笑)。

Alanna:そうね、何年もかかってしまったから「やっと出たわ!」という感じね。でもみんな曲を気に入ってくれているみたいだから、それは良い気分だね!

– Joanna Gruesomeがインディー音楽シーンに残した功績やインスピレーションはとても大きいものだったと思います。『Bigger Than Before』を聴いて、Joanna Gruesomeが持っていた雰囲気と重なる部分があると感じました。この、Ex-Vöidという新しいバンドの目指すものやコンセプトについて教えてください。

Owen:いくつかの曲はJoanna Gruesomeの終わり頃からEx-Vöidの始まりにかけて書かれているから、確かにそれらの曲はJoanna Gruesomeの名残があると思う。それもそのはず、Joanna Gruesome時代に僕が使いまくっていた“半分不協和音/半分メロディック”なコードがあって、使うのをやめようと思っているんだけどやめられないんだ。

Alanna:間違いなくJoanna Gruesomeの続編のようなものだと思う。Ex-VöidではOwenも私もパワーポップの影響に傾倒したかったということがJoanna Gruesomeとの1番の違いかな。

– このアルバムに“Bigger Than Before”(=意味:前よりも大きい)というタイトルを付けた理由を教えてください。

Alanna:実は私、卵を前よりも大きく作るだけの5分間のクラフト動画に夢中で。

– 卵?

Alanna:全く意味不明なの、卵を大きく作る意味なんてないでしょ?その動画は全編通して卵の映像と、“Bigger Than Before(「前より大きい」の意)”っていうテロップが出続けるの。ほんとバカバカしいんだけど、私はそれが大好きで。バンド練習の時に「今までよりも大きく聴こえる曲を作っているんだから、このアルバムを『Bigger Than Before』って呼ぼう」とジョークのつもりで言ったらそのまま使われたの。今回のアルバム全体に対する私の一番の貢献だと思っているわ。

– そんな経緯だったんですね!(笑)

– 歌詞の描写がかなりパーソナルだったのが印象的でした。曲作りに関しては、ご自身の経験をもとにされることが多いのでしょうか、それとも他の人の話からインスピレーションを受けることが多いのでしょうか?

Owen:僕の曲のほとんどは特にパーソナルというわけでなく、大体がヤク中のヤツとかヒッピーのことを歌っているような感じかな。最近書いた曲の中には自分の経験をもとにした曲もあるけど。僕の曲はどれも韻律を強く意識してるんだけど、韻を踏みながら感情を表現するのって難しいんだよね…

Alanna:私がEx-Vöidで曲を書くときは、ポップソングの決まり文句を実際に使ってみる場合が多いね。曲の中で“baby”というフレーズが多く登場するのもおそらくそれが一番の理由だと思うわ。私がもっとも“パーソナル”だと感じた曲は「(Lyin’ To You) Baby」。この曲は私が18-19歳の頃に経験した悪い付き合いからの脱却について歌っているの。「My Only One」はラブソングとして書き始めた曲だったんだけど、私がフラれたから途中でに失恋ソングに変えた。

ー6年間のベストソングを選ぶことができたー

– アルバムにはArthur Russellの「I Couldn’t Say It To Your Face」のカバーが収録されていますね。カバーを入れようと思った理由、そしてこの曲をカバーに選んだのはなぜですか?

Owen:実は全く記憶にないんだよね。もしかして酔ってたのかな?カバーすると決めたことも覚えていないけどまぁそうね、もうアルバムに入っちゃっているし。

– 酔っていたかもしれないんですね(笑)。

Alanna:間違いなく酔っていたわ(笑)。Waxahatcheeのサポートでリーズでライブをしていたんだけど、スタージ裏でOwenがコードを習得して… それから先のことは察する通りよ。

-「(Angry At You) Baby」や「Boyfriend」などの曲は過去に一度リリースされましたが今回のアルバムで再構築されました。他の楽曲も昔に書かれたのでしょうか?

Owen:再レコーディングされた曲は2017-18年くらいまで遡るけど、「Weekend」とか「No Other Way」は新しくて、パンデミックの間に書かれた。Alannaが書いた「So Neurotic」は2015年とか?!そんな前に書かれていたわ!

– 2015年!だいぶ前ですね!

Owen:ある意味、アルバムの完成が大幅に遅れたことで、これまでの6年間のベストソングを選ぶことができたということかな(笑)。

– レコーディングはいかがでしたか?今回のアルバム制作にあたって直面した困難や良い思い出を教えてください。

Owen:さっきも少し触れたけど、実際にレコーディングするまでにとても時間がかかった。僕たちは都合がつくときは友人のSamとRachelのスタジオで過ごしていたんだけど、パンデミックが起こって、明らかに物事が大きく減速してしまった。いくつかの曲はJonnyのスタジオで録ったよ。レコーディング時一番の思い出はスタジオにいるパグ、“Batman”とじゃれたことかな。

ーKeep on rocking, Don’t stop rockingー

– アートワークやバンドの写真を見て、なんとなく赤とピンクがバンドのテーマカラーなのかと思いました。実際のところはどうでしょう?

Alanna:(テーマカラーのようになってしまったのは)偶然のことだと思う。本当は最初のプレス写真のテーマだったんだけど定着しちゃった。私のお気に入りの色の組み合わせなの。何か深い意味があったらいいと思うけど単にかっこいいと思うにとどまるわ。

– 最近はどんな音楽を聴いていますか?何かおすすめのアルバムやアーティストがいれば教えてください。

Owen:まだリリースがされていない(僕も在籍している)Garden Centreのアルバムはとても良いよ。

Alanna:これからリリースされるSniffany and the Nits(Owenがドラムを叩いてる)のアルバムは本当最高。今UKで一番好きなバンドかもしれない。新しいEmpathのアルバムもよく聴いてるわ。他にはClaire Rousayのリリース作品全てとRaumの新作。あと、ジムに行くときはいつもBree Runwayの『2000AND4EVA』を聴いてる。2020年にリリースされた作品だけど今聴いても最高。

これからの予定や目標を教えてください。

Alanna:個人的にはデッドリフト100kgを持ち上げることと懸垂1回を目標に頑張っているよ。他のメンバーのことは言えないけど、いつまでもロックしていくつもりだと思うわ。

– 筋トレですか!かっこいいですね〜!

– 最後に、読者へメッセージをお願いします!

Owen:Keep on rocking! 

Alanna:Don’t stop rocking¡


■Release Information

ARTIST:Ex-Vöid

TITLE:『Bigger Than Before』

RELEASE DATE:2022. 3. 25

LABEL:Don Giovanni, Prefect


■Biography

Ex-Vöid

ロンドンを拠点に活動する4人組パワー・ポップバンド。<Pitchfork>などの主要メディアでも高評価を獲得したカーディフのバンドJoanna Gruesomeの元メンバー、Owen Williams、Alanna McArdleを中心に結成。ブラック・サバスの「Into The Void」やD.C.周辺のハードコア・バンドVOID、The Raincoatsの「The Void」から影響を受けてバンド名を決める。前身バンドの攻撃性を踏襲しつつ、よりパワー・ポップの影響に傾倒したメロディックなパンクが持ち味。