| Interview
Sugar House
鋭利なパンク精神とUSインディーのDNAを再解釈する東京の4人組、Sugar House。洗練、繊細さ、荒さを追求したデビューEP「Surface」から彼らの活動を紐解く。
– バンドの簡単な自己紹介から願いします。
Kobayashi:Sugar Houseです。都内を拠点に活動しています。Vo./Gt.のKobayashi RenとGt.のUchida Hibiki、Dr.のMakiyama Ryousuke、Ba.のAoki Yusukeの4人でやってます。
– バンド名の由来について教えてください。
Kobayashi:いろいろ考えたんですが、候補をひたすらバーッと出し合って決めました。
Makiyama:何か有名なものがもとになっているわけではないです。
Kobayashi:とりあえず好きな単語を出し合ってく中で誰かが「Sugar Houseは?」って言ったらみんないいじゃんって。本当にそれぐらいのノリで決まりました。バランスもだし、楽曲的にもポップになりすぎずっていうところで最終的に「Sugar House」になりました。
− 繊細さと荒さとヤンチャさ… −
– 今回のEP「Surface」のコンセプトについて教えてください。
Kobayashi:しっかりしたコンセプトはなくて、その時に作りたいものを作るという感じで制作しました。前のインタビューでも話したと思うんですけれど、曲でテーマを考えたことがないのと同じで、あまりコンセプトについても考えたことはないです。
Makiyama:4曲が完成してジャケットを作るとなったときに神聖なイメージが欲しいという話をメンバー間でしました。
Uchida:洗練された感じでありながらも、繊細でさらに荒さやヤンチャさがあるようなイメージでした。
Kobayashi:ジャケに関して言うならそんな感じでしたね。
– では、作品のコンセプトというよりかは現時点でできている曲をリリースするという感じに近かったのでしょうか?
Kobayashi:そうですね、もともとできていた曲ではありましたね。
– ここまでのリリース楽曲は全て英語ですが、それには何か意味がありますか?
Kobayashi:特に意味はなくて。やりたい音楽がバンドを始めた当初からサウンド的に英語の方がしっくり来るなと思い英語で行きました。
– 歌詞を書く際に何か参考にしている本や作品はありますか。
Kobayashi:歌詞書くときはまず日本語で書き起こすのですが、浮かんできたものをバァーッと書いてそれを英語に直す感じなので参考にしているものはあまりないかもしれません。
– MVについてお聞きします。先日「Blind」のビデオが公開されましたが、あの映像には何かコンセプトがあったのでしょうか。
Kobayashi:メンバー同士色々リファレンスを出し合って、白黒で撮りたいねって話をしていました。構成自体は監督さんにお任せをし、僕らは色合いや雰囲気などの部分を説明する形で進めました。
– 撮影地はどこだったのでしょうか。
Kobayashi:埼玉にある廃工場ですね。刑事ドラマの撮影にも使っているみたいで。
Aoki:爆発まではOKって言われたみたいです(笑)
Makiyama:爆発の使い道はなかったですけどね(笑)
– 最近は多くのバンドと対バンしているようですね。そこで、かなりアバウトな質問にはなると思いますが、今の日本の音楽シーンについてSugar Houseの皆さんはどう感じているか教えていただきたいです。
Makiyama:「音楽シーンに食い込みたい」って思って音楽はやってないから、「シーン」としての音楽はあまり見ていないです。
Kobayashi:そうですね、その方向に行くために自分たちのやり方を変えようと思うことはないですね。そこはブレずにやりたいです。
Uchida:本当に好きなものを好きなように作りたいという感じですね。
– 前回のインタビューでも少し触れたのですが、逆に海外の音楽シーンを意識したりすることはありますか?
Aoki:アーティストや作品をピックアップして聴いたりはするけど、シーン全体でチェックする感じではないと思います。
Makiyama:ジャンルとかって、今まではレコードショップの人とかが区分けで使ってきたけど、今ってそれほど重要ではない気もしますね。色々な音楽が生まれるのはすごく良いことだと思うし、聴き方だって人それぞれですしね。ルーツも最初から決まっている訳ではないから、「いろんな音楽を聴いてきました!」みたいなのも全然良いと思います。
Aoki:世界的に見たらヒップホップの時代ですよね。でも最近はバンドもヒップホップとコラボしたりしていて、(もともとヒップホップを聴くような若い人たちが)もっとバンドにも興味を持ってくれたらいいなとかは考えたりします。
– また少し話が変わりますが、皆さんおしゃれですよね。ファッションで意識していることは何かありますか?
Kobayashi:メンバーそれぞれに個性があっていろんなものを着るから、音楽に絡めた縛りみたいなものはあまりないですね。
Aoki:MVを撮る時とかに関しては、ある程度みんな曲に対してのイメージが出来上がっているので、軽く「こういうの着ていくわ」みたいなすり合わせをすることもあります。
Uchida:服の話はめちゃめちゃしますね。「これいいよね」とか。買い物に行ったり。
– おすすめの古着屋さんとかってありますか?
Aoki:STEP AHEADですね!僕がいるので!
– 一択!(笑)
Kobayashi:渋谷にあるSCENEっていう古着屋さんもおすすめです。お店のBGMもすごく良くて。
Uchida:あそこは音楽いいよね。
– 友達や知り合いに恵まれた −
– ファッションに関して言えば、先日はDroptokyoでもフィーチャーされていましたね。その経緯はどのようなものだったのですか。
Aoki:前に特集された時は美容師の友達の紹介でした。今回は中野道さんが僕たちを推薦してくれたこともあって特集されることになりました。
Uchida:友達や知り合いに恵まれているなと思います。自分たちだけではできないので、周りの人に感謝したいです。
– ファッション以外のカルチャーで何か影響を受けているものはありますか?
Kobayashi:音楽に興味を持ち始めたのと同時に映画にもハマりました。17〜18才頃だったと思います。90年代の映画とかを見てファッションを学んだりしたので、映画の影響は大きいですね。
– 最も影響を受けた作品はありますか?
Kobayashi:『バッド・チューニング』ですね。
Makiyama:僕も映画の影響は大きかったと思います。あとは、付き合っていた彼女が好きだったものに影響されたりっていうのもありました。「彼女が好きだからこういう服を着てみよう」とか「同じ映画を自分も見てみよう」みたいな(笑)。その流れで映画を自分でも見るようになって、『トレインスポッティング』に出会いました。
– 今「マイブーム」になって聴いている音楽とかはありますか?
Kobayashi:Bleachersが今年出したアルバムはよく聴いていますね。もう曲が好きすぎて(笑)。あとはHolly Humberstoneっていう海外の女性シンガーソングライターです。Taylor SwiftとかLordeに影響を受けた若い人たちが最近は多く出てきていると思うんですが、その流れで聴いています。
Uchida:僕はRenと出会ってから、彼が聴く曲をよく聴くようになりました。
– 皆さんが普段聴いている音楽と実際に演奏している音楽はかなり違うような気がしますが、バンドの開始当初から今のような音楽性で進めるということは決まっていたのでしょうか?
Kobayashi:もともと自分が音楽だけではなく、ファッションや映像、ビジュアルアーツにも興味があって、その中でやっぱり海外の音楽が本当にかっこよくて。それこそDIIVとかが僕にとっての入口だったのでそういうバンドがやりたいと憧れを抱いていました。
−この先どうなるんだろうという期待感が大きい −
– 皆さんはどのタイミングで楽器を始めたり、曲の制作をするようになったのでしょうか?
Kobayashi:初めてギターに触れたのが中学3年の時の文化祭でバンドをやった時で、5つ上の兄から教えてもらいました。そこからしばらく触らない時期があり、再び始めたんですがコードは最低限のものが分かる程度でした。曲は最初からオリジナルで作っていました。それからGarage Bandで宅録をするようになりました。
– 今もデモはGarage Bandで作っているのですか?
Kobayashi:初めはGarage Bandでしたが16~17歳くらいからはずっとロジックを使っています。
– とても現代的な作り方ですね。
Makiyama:僕は中学まで野球をやっていたんですが、反抗期のタイミングで友達にドラムを教えてもらう機会があり、スピッツやレミオロメンを叩いているうちに音楽をやりたいなと思いました。高校では軽音楽部に入り週1くらいでダラダラやっていて、最初はベースだったんですけどどうしても弦が押さえられなくて。どうせ楽器をやるなら上手くなれるものが良いなと思いドラムにしました。
– その時は将来バンドをやろうと思っていたのですか。以前のインタビューではバンドの誘いを断ったと言ってましたが..。
Makiyama:もともと農業普及員になりたくて大学に入りました。大学3年生くらいの時に響くんと会ってバンドを始める話が来て、とりあえず遊びでスタジオ行ってみようという話になって今に至った感じです。
Uchida:そうそう、「とりあえずスタジオ行こうよ」ってね。
Makiyama:曲が作れない分、何か他のことをしようと思って最近はロックを聴くのをやめ、ジャズ、パンク、レゲエ、ブラックミュージックを取り入れてどんどん進化したいなと思っています。
Aoki:地元がRenと同じで、高校から頻繁に遊ぶようになってギターの初心者キットで練習していたんですが、大学受験の時期に触らなくなりました。大学入学後にRenとバンドを始めようみたいな話を少しするようになりました。大学を3年で辞めたときに本格的にバンドをやろうと決め、初めてベースを触りました。
Uchida:僕は高3までサッカーしかしてこなくて、音楽は好きだったんですが周りに音楽の話を共有する人はいませんでした。高校卒業後、美容師の専門学校に通っているときに高円寺の古着屋の店員に「バンド好きなんだし音楽やれば?」と言われ、Yusukeから借りたギターで始めました。なので、早い段階で楽器に触れてきたみんなが羨ましかったです。
– コロナ禍で活動が制限されている中、音楽活動を続けている意義はありますか。
Makiyama:辞める理由がないので続けていますね。この先どうなるんだろうという期待感は大きいです。
– いい感じの名言が出ましたね(笑)
Kobayashi:(辞めることを)考えたことないかもね。
Makiyama:もう僕たち友達だもんね。バンド辞めたとしても会うこと辞めますかって…ならないじゃん(笑)集まれるなら集まりたいしね。
– 今後の予定や目標があれば教えてください。
Kobayashi:まずは大阪と東京で行われるEPのリリースツアーですね。
Makiyama:良いライブしたいよね。
– ライブは緊張しますか。
Makiyama:めちゃめちゃしますね(笑)緊張しまくって変になることもあります(笑)ライブ前にいきなり円陣組みだしたり(笑)
Kobayashi:一回しかやったことないから(笑)私生活であまり緊張することはないですしね。
Uchida:そういうのが逆に新鮮というか。それもありがたいです。
– 最後に読者へのメッセージをお願いします。
Kobayashi:EPが出たので聴いてくれたら嬉しいです。MVも観てくれたら。ライブにも是非お越しください。
■ Release Information
ARTIST:Sugar House
TITLE:『Surface』
RELEASE DATE:2021. 11. 12
LABEL:WAREHOUSE TRACKS
■ Live Information
「Surface」 Sugar House 1st EP Release Tour
12.17(FRI)
@Club STOMP(大阪)
open:18:30 start:19:00
Act:Sugar House,aryy
チケット代2,500円(税込)
12.19(SUN)
@Shimokitazawa SPREAD(Tokyo)
open:18:00 start:18:30
Act:Sugar House,S.F.Johnson and more…
DJ:CEMETERY,softycent
チケット代2,500円(税込)
<チケット受付>
sugarhouse.bandjapan@gmail.com
東京、大阪共に上記メールアドレスに住所、氏名、電話番号、枚数を明記の上お申し込みをお願いします。
■ Biography
Sugar House
Sugar House(シュガーハウス) 2019年結成、Ren Kobayashi(Gt,Vo) 、Hibiki Uchida(Gt)、Yusuke Aoki(Ba)、Ryosuke Makiyama(Dr) の 4 ピースバンド。メンバー全員が 20 代前半でありながら、初期の DIIV や Beach Fossils などの 2010 年代 US インディー、また Ride や The Jesus and Mary Chain のような 80 年代シューゲイザーサウンドを彷彿させる音を鳴らす。2021 年の 4 月にサウンドプロダクションに DYGL の Kohei Kamoto を迎え、REC&MIX に米津裕次郎が担当した初のスタジオ録音音源である『Normal04/Dry』をリリース。以降、ライブオファーが急増し、現在は東京の下北沢を中心に精力的にライブ活動を行なっている。また、ファッションメディア “Droptokyo” に出演するなど音楽業界のみならずファッション業界からも注目を集めている。