Interview – Stello

ニューヨークを拠点にジャズとロックをかき鳴らすインディーロックバンドStello。彼らのポップスに対する考えやデビューアルバム『Carousel』への想いに迫る独占インタビュー。

ー 2つのジャンルの両極に向かって押し出されるんだ

– – どのようにバンドが始まったか教えてください。

バンドはソロプロジェクトから始まったんだ。けど、地元や大学の友達とか音楽に対する考えが似ている人が徐々に集まったんだ。

– – バンド名であるStelloはどういった意味なのですか?

Stelloは 「Stella by Starlight」 (1944年/Victor Young)という曲のStellaの部分をもじったものなんだ。あと読者の皆さん、Miles Davisの『My Funny Valentine』のライブバージョンをぜひチェックしてみて!Stella by Starlightの曲に行く前の1分53秒あたりで Miles Davisのフレーズの合間に”yeeeeeeaaaaah!” って誰かが叫んでいるんだ。録音された音楽の中で今までで一番好きな瞬間だね。だから最初は”One Minute and Fifty Three Seconds into Miles Davis’s Stella By Starlight”っていうバンド名にしようとしていたんだけど、Tシャツに合わないからやめたんだ。

– – 特徴的なジャズ・ロックのスタイルはどのようなものに影響を受けて生まれたのでしょうか?またバンドを始めた時から夜更かしやディナー、夜の散歩に向けたテーマを持って作っていたのですか?

ジャズロックには70’s fusion jazzだったり、 Steely Dan, Radiohead, Mac Demarcoの最初の何枚かみたく明確な先例があり、どれも自分たちのテイストにあっていて本当に好きなんだ。だけど、どちらかというと自分たちのジャンルは楽器演奏のトレーニングに影響されていると思う。バンド内3人はジャズスクールに通っていて後の二人は素晴らしいギターリストだから僕たちのサウンドはこの2つのジャンルの両極に向かって押し出されるんだ。けど音楽を作るときにそこまで自分たちのジャンルについて考えたりはせずに、刺激的だと思うアイデアの中かから影響を受けていることが多いね。

あと、ニューヨークの街は文字通りインスピレーションの宝庫だよ。曲の多くは、地下鉄の音や街の雰囲気、歩道での会話などが録音されていて、ほとんどすべての歌詞はアパートの中や路上でのシーンをイメージしてるんだ。夜更かしやディナー、夜の散歩のための音楽っていうのも本当で、実際に新曲のテストはヘッドフォンをつけてニューヨークのブロックの周りを歩いているんだ。

ー 最終的に今作はポップミュージックの核心になっているんだ ー

– – 素晴らしいデビューアルバム『Carousel』をリリースされましたが、このアルバムの特徴や制作の際の想いなどはありますか?

ポップミュージックというものは歴史的にみても、各世代の若い人に向けて作られて発展してきたものなんだ。だからサウンドや言語は常に時代と共に大きく変化してきたけど、優れたポップミュージックは、小さなドラマ(10代の別れ、パーティー、車での移動)を生死をかけた壮大な叙事詩に投影することに長けていると思う。これと同じ概念を曲に取り入れたけど、よりテクニカラー(自然でありのままの色)で吹き飛ばせるような普通でない瞬間を探すようにもしていたんだ。レコーディングに費やした2年間を通して1つの単純な思いをはっきりさせる事は難しいけど、それが自分たちが曲作りに使った一貫された方法であることは確かだよ。僕たちの曲はトップ40にランクインするようなものではないけど、最終的に今作はポップミュージックの核心になっているんだ。

– – アルバムの最後を飾る「I Can Hear You Calling」はこれまでの曲と比べてエネルギッシュでライブビデオも格別でした。この曲のインスピレーションなど少し教えていただきますか?

そうだね、確かに自分たちの曲の中では最もエネルギーのある曲だね。「天に手を伸ばす」ような曲の究極を目指していて、全ての要素において巨大な風が髪の毛を吹き抜ける感覚を生み出すものにしたかったんだ。ライブでやるのもとんでもなく楽しいね。

ー みんながリセットされたことで刺激的でポジティブな変化があるだろう ー

– – 周りに興味のあるアーティストやコミュニティなどはありますか?また、日本のDYGLのメンバーである秋山さんと下中さんと交流があったと本人から聞きました。

今、自分たちが一番関心があるのはここブルックリンの音楽コミュニティの再生だね。ライヴシーンが1年間閉鎖された明らかな困難の中でも、隔離され皆がリセットされたことで刺激的でポジティブな変化があるだろうと楽観的に考えているよ。

DYGLについては彼らが本当に恋しいよ!彼らとは日本でカウチサーフィン(旅行者が一般宅などに泊まれるサービス)している時に出会ったんだ。彼らの友達のユウキさんが僕たちを吉祥寺のライブでのオープニングアクトにしてくれたんだけど、DYGLのライブは本当に最高だったよ。僕が初めてクラウドサーフィンしたのも彼らのライブだったんだ。

– – 日本に来る予定はまたありますか?あなた達の曲は東京の夜にも合うと思います。

今のところはないんだけど、いつかは必ず戻ってくろことは確かだね。

– – 今後の予定や何か目標があれば教えてください。

新曲がもうすぐリリースされるんだ!たくさんの新曲のレコーディングが進んでいて、よりアコースティックでありながらもグルーヴ感もありファンキーな感じもでもあるんだ。

最近James Brownをよく聴いていて、彼らは3〜4つのリフを重ね合わせてそれを曲に合わせて進行させているんだ。今回の新曲らもこの方法で進めて作ったんだ。

– – 最後に読者の方へメッセージをお願いします。

まず最初に僕は日本が本当に大好きだし、どれほど親切にしてくれたか本当に感謝しています。日本は美しい音楽シーンを持っていてそれを体験できたことにも感謝しています。

2つ目に、もしこれを読んでいる方が東京の僕のお気に入りの場所に行ってみたいと思ったら、目黒区駒場1丁目16番地にあるザハリアージュというカフェをお勧めするよ。もし行ったら、インスタグラム(@stellonyc)で写真を送ってね。この動画はギタリストWillがぶら下がっている映像です。毎朝、オーナーが飼っている柴犬のMilesの隣でコーヒーを飲めるなら、幸せに死ねるだろうね。


■ Release Information

Stello – Carousel

Date:2021. 9. 10

Label:Stello


■ Biography

ニューヨークを拠点に活躍するインディーロックバンドStello。インタビューで答えてくれたアーティストやフランク・シナトラへの影響を受けたジャズ×ロックを夜の街に落とし込んだ楽曲は唯一無二。ポストパンク、ギターロックが盛り上がりを見せる最近のインディーズシーンにいるバンドとは明らかにアプローチが異なり、9月10日には今までの集大成でもある1stアルバム『Carousel』を2年かけて完成させた。すでに始まっている新たなプロジェクトと共に今後がとても楽しみなバンドだ。